「ナヌーは助けにこないのか?」アース kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
ナヌーは助けにこないのか?
主演は渡辺謙ではなく、46億歳になる地球だ。映像は北極から南極までを縦断し、各地に生息する野生動物やダイナミックな自然を描いている。『ディープ・ブルー』のスタッフがNHKでも放映された「プラネット・アース」の膨大な映像を劇場用に再構築したものだそうです。
最初に登場するのは北極のシロクマ。『北極のナヌー』と同じ視点で始まるものだから混乱しそうになりつつ、針葉樹林、広葉樹林とロケ地を移動し赤道直下の熱帯地方へと旅をするのです。定点カメラのコマ撮りなんだろうけど、季節の移り変わりを数秒で描いているのは美しくもあるけど、CG処理してあるのではないかと勘違いしそうになる。
絶滅危惧種のシロクマ、アムールヒョウなどはいいとして、地球温暖化がテーマでもあるんだし、多くの動物を登場させるとその分ぼやけてしまう。たしかに珍しい生態や決定的瞬間は魅力的だし、大きなスクリーンの迫力は鑑賞の値はあるものの、長く印象には残りそうもない。一昨年観た『ホワイト・プラネット』も覚えてないんだし・・・。最近の自然ドキュメンタリー映画は『皇帝ペンギン』や『北極のナヌー』のように、ターゲットを絞ってドラマチックに編集することが求められるのかもしれません。
こども500円キャンペーンが示しているように幼児も対象にしているためか、残酷シーンの一歩手前で編集されているのも特徴で、サバンナの夕日が映えているせいでヤコぺッティの世界を期待した人は眠くなってしまうかもしれません。オオカミに襲われるトナカイ、チーターに襲われるガゼル、ライオンに襲われるアフリカ象などなど、美しい地球を追及するあまり、その後のシーンを映さずに捕食や生態系のバランスなどは学校で習いなさいと言ってるようなものなのです。
そんな中、これまで見たことなかったアネハヅルのモンゴルからインドへ向かうためのヒマラヤ越えは印象に残りました。朝青龍がサイババに会うためにヒマラヤ登山するようなものかもしれませんが、“アネハ”と聞いて、どこかに偽装工作があるんじゃないかとも疑ってしまいました。