劇場公開日 2008年5月17日

  • 予告編を見る

「歴史は嘘をつかない」チャーリー・ウィルソンズ・ウォー あんゆ~るさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0歴史は嘘をつかない

2009年1月4日

笑える

知的

難しい

この映画観た人からいい評価聞かなかったので、劇場で観るのを控えてました。が、一言おもしろかったです。ただ見方によっては戦争推進映画と取るのも仕方ないでしょう。

中東の複雑な歴史と大国との背後関係など、一連の流れの背景知識を持っていると、この映画はとてもエスプリの効いた度胸満点風刺コメディ映画。そして、さまざまな解釈をはらませる危険な作品です。

個人的な信条として持っているのは、いずれにせよ共産主義は世界にとって良くない思想であること。唄っている事は素晴らしいですが、それは所謂氷山の一角で、その下には様々な危険がこの思想には潜在的に眠っているのは歴史が証明しているし、日常の人々のふれあいで分かること。それを打破しようとした主人公の政治工作、ロビー活動は、それはそれで尊敬できます。

この映画を観終わった後、中東の民族、文化、歴史というしがらみを内包したまま大国にのしあがったアメリカの抱えた、現在の宿命的悲劇がよく見えるようになりました。そして、そこから省みて日本という島国は詰まる所、幸運だったのであり、ずっと縁の下にいる宿命を背負った国なのだとも思いました。現在、降下しつづける日本の地位は、ごく自然の場所にようやく戻ろうとしているのです。

皮肉にも、この映画を観て、他国との歴史の絆がうすい国に住む私たちは(アメリカ同様に)もっと謙虚にならなければと思わされた作品でした。この作品で色々学びましたが、一番は自分の国、日本のことでした。

あんゆ~る