ロビン・フッドのレビュー・感想・評価
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リドスコ作品では普通!!
ロビン・フッドについては何も知りませんが、同じ監督の「キングダム・オブ・ヘブン」(2005)の最後に獅子心王が出てくるので、その続きのような感じですんなり入り込む事ができました。前半はどういう話になるのか分からない楽しさがありました。村人が領主の息子の顔を知らなかったり、ラッセル・クロウの外見も相まって、ならず者に見える主人公が急に使命感に目覚めて演説を始めたり、いきなりフランス人がピンポイントに攻めてきたり、強引に感じました。
Until Lambs Become Lions. 自由を求めロビン・フッドがアウトローになるまでのお話
ロビン・フッドという何度も映画化されているイギリスの物語をリドリー・スコットとラッセル・クロウで映画化。ちょっと視点を変えて、アウトローになるまでの姿を丹念に描いています。
多分イギリス等では有名なお話なのでしょうが、日本人のワタクシには話自体がイマイチピンときません(;゜∇゜)無知なだけなんですけどね。
というわけで根本的な話を良く知らない分これはこれで楽しめました。リドリー・スコットの描く史劇は迫力があって面白い。ストーリーは多少力業ですが(最後の戦いにケイト・ブランシェットが現れた時には思わず笑ってしまいました)、画像の撮り方は相変わらず素晴らしいです。
イギリスの寓話なのに主演がニュージーランド人のラッセル・クロウ、オーストリア人のケイト・ブランシェットとイギリス人じゃない事はつっこんではいけない所なのでしょう。何かで最近のイギリス人は細くなりすぎて、たくましい役をやれる俳優がいなくなったという記事を読んだことがあります。ラッセル・クロウを主演に向かえた事でたくましさがUPしております。
やっぱり「グラディエーター」は超えれなかったですが、中世の再現率などビジュアル的には目を見張るモノがあります。ストーリー重視の方には気になる事も多いかもしれませんが、映像重視の方にはオススメできる作品です。
メインディッシュは、男臭さのメガ盛り
2時間半にも及ぶ長丁場だったが、面白さに圧倒された。
久々に男臭く骨太な洋画らしい洋画をストレートに堪能できたと思う。
ロビン・フッドってぇっと、かつてケビン・コスナーが務めた正義感が強い2枚目の英雄伝というイメージが根付いているが、今作ではスマートとは真逆に居るハリウッド随一の骨太俳優ラッセル・クロウを起用。
したたかだけど不器用で、薄情だけど義理堅く、寡黙で頼りがいのある新しいロビン・フッドを男臭くパワフルに表現。
ラッセル・クロウしか体現できない格好良さと愛嬌を兼ね備えたロビン・フッド像がダイナミックにスクリーンを駆け巡っていた。
徹底したリアリティが殺し合う世界の醜さを全面に押し出すことで、従来のロビン・フッドにはない人間臭さが揺るぎない魅力を生み出す。
遠征の地から帰還する際に戦死した幹部と誓った仁義を機に、妻となった地主のケイト・ブランシェットとの愛も飾り気のない熱さを帯びており、粋で味わい深い大人の御伽噺に仕上がっている。
今作のロビン・フッドの一番の特徴は、彼の十八番である弓矢の使用をセーブした事だろう。
前半の遠征戦をもって封印し、中盤は新しい王座に就いた冷酷非情なジョン王による独裁政治に困窮する民衆の叫びに重点を当てている。
繰り返される弾圧により溜まりに溜まる民衆の怒り。
そのエネルギーをロビン・フッドが一人一人の愛国心に訴え、団結させ、侵攻するフランス軍と海岸沿いで激突するクライマックスの肉弾戦に繋がっていく。
故郷のイングランドに、敵のフランスに、対する極限まで宿った想いが弓矢に全て注入され、渾身の一投が最後の標的目掛けて放たれる。
同時に、息を呑み戦を眺めてきた観客の快感が一瞬にして爆発する。
リドリー・スコットが掲げ続けてきた戦う男の美学が壮大に詰まった傑作として、映画史を語り継いでゆくに違いない。
つくづく感じたのは、いくら男が強くても女の色気にゃ〜かなわないってぇっことですな。
ラストでロビン・フッドを見つめるケイト・ブランシェットの瞳の純度が了見を淀みなく証明している。
愛する者をいつまでも信じ、待ち続ける心。
それが女の美学ってぇヤツなのかもしれない。
では、最後に短歌を一首。
『血の誓い 炎に込めて 帰還(かえ)る矢は 獅子に代わりて 冠を貫く』
by全竜
最強タッグなだけに残念
リドリースコット監督+ラッセルクロウと聞いたら期待せずにはいられないんですよね。
絶対面白いと思って観てしまうんです。
今回はちょっと残念でした。
ストーリーがイマイチでした。
アウトローがテーマだったみたいですが
何故か行き当たりばったりな中途半端な感じを受けました。
時代背景、個性あるキャラクター、戦闘シーンは面白かっただけに残念でなりません。
ケイトブランシェットは華がありますねー。
今回の(ロビン)ラッセルクロウが微妙だったせいか
彼女が主役みたいでした。
全体的に少し薄っぺらかった気がします。
しかし映像は写真のようでした、流石ですねー
あとエンドロールがお洒落!
次回作に期待したいです。
巨匠の老いを感じてしまった。
前置きをしておきますが、リドリー・スコット監督作は
大好きです。
もちろん「グラディエーター」以前も・・・。
多くの方の肯定的なレビューが
並ぶのですが・・・・
勇気を出して否定的な感想を書かせていただきます。
「グラディエーター」は公開初日に観に行き、
エンドロールでは胸が熱くなり、余韻を残した男魂に涙し、
6月にも関わらずオスカー受賞を確信しました。
後の歴史スペクタクルもののブームを作ったのは
間違いなくこの作品ですし、
今でもこの年のアカデミー賞は
ソダーバーグではなく、リドリー・スコットがオスカーを獲るべきだったと
思います。それぐらいの力作でした。
「キングダム・オブ・ヘブン」も公開初日に観に行き、
本国での興行成績不振の情報は入っていたにも関わらず、
劇場鑑賞時、至るところでそのビジュアルに感嘆した記憶があります。
もちろんディレクターズカットで更に好きになった作品です。
(むしろディレクターズカットこそ本当の「キングダム・オブ・ヘブン」です)
この2作品と比較すべきではない、単体で観なければならない、
そう肝に銘じて鑑賞しました。
それでも・・・
この作品を代表する“ビジュアル”が薄かったような気がします。
監督作品のDVDメイキングを見ると分かるのですが
ストーリーボードから手がけているくらいですから
ビジュアルにはかなり気を使われる監督です。
だからこそ、
前述の2作にあったように
CGで再現したコロシアムやフラッシュバックで現れるイメージカット(「グラディエーター」より)や
砂漠で渦巻く騎兵隊や対峙するボードゥアン4世VSサラディン、
ドミノ倒しになる移動式櫓(正式名称はなんと言うのでしょう・・・「キングダム・オブ・ヘブン」より)など
・・・その作品を代表するようなシーンがたくさんありました。
しかし、この作品からはそれらに匹敵するようなシーンは
私は感じることができませんでした。
たしかに、クライマックスに向けて
ロビン・ロングストライド(ラッセル・クロウ)の
“領主たる器”を描くシーンも大好きです。
丹念に描いていて自然な流れだと思います。
ウォルター・ロクスリー(マックス・フォン・シドー)との掛け合いや
マリアン(ケイト・ブランシェット)とのロマンスも自然ですし、
好感が持てました。
たしかにクライマックスの海辺での攻防は
熱く心に響くものがありました。
「プライベート・ライアン」を引き合いに出される方もいますが(それはその時代で・・・。)、
しかし、なぜか一番熱くなるシーンのはずが
矢の一本で、徹底的に苦境に立たされた諸悪の根源であるゴドフリー(「キングダム・オブ・ヘブン」では偶然なのか、リーアム・ニーソンが“ゴッドフリー”でしたね)を簡単に討ち取るとは・・・。
端的に言えば、全編においてカタルシスが足りなかったような気がします。
クライマックスへ向けて、ロビンが大演説を打つのですが
それも少々浅いように感じました・・・。
(「キングダム・オブ・ヘブン」にも言えるのですが・・・)
クライマックスのスペクタクルシーン(こういった歴史モノはこれだけではないですが・・・)
があまりにもあっさりしていたため
リドリー・スコット監督に対し
“老いを感じてしまう”“かつての勢いを出して欲しい”、
そういう想いで観てしまいました。
もしかすると
製作当初の
「ノッティンガム」は
また違ったテイストの作品になったのでしょうか。
うがった見方かもしれませんが
つい、そう思ってしまいます。
それでも、肯定的に感じたのは2点。
ゴドフリーを演じたマーク・ストロングと音楽のマルク・ストライテンフェルト。
マーク・ストロングは「ワールド・オブ・ライズ」あたりから
ファンが多くなりましたが
いつかオスカーを受賞しそうな風格はあります。
この映画での彼の貢献度が一番だと思います(名画にはアクの強い好敵手は欠かせないです)。
一方、音楽のマルク・ストライテンフェルトは
「アメリカン・ギャングスター」から注目していましたが(正直「プロヴァンスの贈りもの」では未知数でした・・・)、
テーマを要所要所で観客へ植えつけるその手法は
ハリウッド映画音楽界では若手ながら印象に残っています。
アメリカ本国ではDVD・ブルーレイにてディレクターズカットが発売されているため、
劇場で感じた違和感(なぜ“夫”を見送りながらも戦場にマリアンが出てきたか等)も解消されることでしょう。
しかし、しかし・・・
本作の先に待機している「エイリアン」プリクエル2部作に
一抹の不安を感じてしまった作品でした・・・
(H.Rギーガーがいるので大丈夫でしょうが)
矢は痛そう
銃と違って、矢ってリアルな感じがして、とても痛そうです。
戦闘シーンでは、その迫力に思わず手にあせ握ってしまいました。
突然成り行きから一国の王になっても、全く威風堂々たる姿であるというのはスゴい人!
粗野ならクロウにお任せ。
監督と主演俳優のコンビが根強いものだから^^;
グラディエーター2なんじゃないの!?と思わせる本作。
まぁ~地味な爺さんばかり使ってる(すいません^^;)とか、
時代考証と展開はそれでいいのか?など様々なお叱りを
受けている(らしい)本作なんだけど、私には面白かった。
なにかの番組で日本人は
「ウイリアム・テルとロビン・フッドの違いが分からない。」
なんて言っていて、あはは♪確かに~なんて思っていた。
弓の達人!ということ以外は森の無法者?という知識しか
ない自分には、あ~無法者ときたらコイツだよね^^;なんて
粗野ならおまかせ♪R・クロウがすぐに浮かんでしまった。
荒ぶれた顔と態度のワリに(ホントすいません^^;)演技は
キッチリこなすタイプなので、好みを葬ればとても観やすい。
彼を囲む俳優達も地味だわ、重鎮だわ、歳食ってるわ、
も~若い子はゲロゲロしちゃいそうな顔ぶれなんだけど^^;
その分演技がしっかりしているから何をやっても観応えが。
K・ブランシェットに誰が誘われたいの!?なんて思わずに
優しく誘われて(爆)観た方がいい。ラストは女戦士?の如く
見せ場もいっぱいあって楽しいんだから。
悪役のM・ストロングなんて、コイツが出たらすぐ犯人だと
分かる仕組みの俳優だから(まったくもって相スイマセン^^;)
彼の悪党面を眺めているだけでも楽しい。
意外性はまるでないが、真っ当な作品は安心して観られる。
映像美も城のセット(よく作ったな)も見るからに素晴らしいし。
個人的にはバカな王を演じたO・アイザックなんてそそる~v
あれ?と思ったのがERに出ていたS・グライムズ。
いまちょうどBSで最終シーズンを観てるもんだからなんか妙^^;
ドクター・モリス、そこでなにやってるんですか?(爆)
(誰もラッセルの顔を見てまずロビンは浮かばないでしょうね)
ロビンとマリアンの濃密な結びつき
イギリス映画 新作「ロビン フッド」を観た。第63回カンヌ映画祭のオープニングに、上映された作品。
ロビン フッドは 中世イングランドの伝説上の義賊だ。
いつの時代にも 義賊は人々から愛される。権力に楯突いて 権力者の独占する富を 民衆にばら撒いたりする。人々は抑圧者を憎むけれど、反逆する勇気や力を持たない。だからごく普通の人にとって反逆者は、時として、自分の代弁者であり、英雄でもある。鼠小僧、石川五右衛門、紅はこべ、ネッド ケリーなども人気者だ。
今まで ロビン フッドは、何度も何度も 映画化されてきた。1976年には、「ロビンとマリアン」という題で、ロビンをショーン コネリー、マリアンをオードリー ヘップバーンが演じている。デイズニーアニメの「ロビン フッド」は、キツネだ。1991年にはケビン コスナーがロビンをやった。
新作では、ロビンは オージーのラッセル クロウ、マリアンを これまたオージーのケイト ブランシェットが演じている。監督は「グラデイエーター」、「ブラック ホークダウン」、「エイリアン」を作ったイギリス人 リドリー スコット監督だ。
オーストラリアはその昔 イギリスで有罪を宣告された受刑者が送り込まれて できた国。もとはイギリス人とは言っても イギリス英語はしゃべらない。そんなオージー俳優ケイト ブランシェットに「エリザベス」その1も その2も演じさせて、アカデミー賞までオーストラリアに持っていかれてしまった。イギリスには英国女王を演じられる役者が居ないのかしら。まあ、それほどオージー俳優の質が高いということか。ケイト ブランシェットは フィルムよりも、舞台を大切にしている本当の役者。育ち盛りの3人の男の子のお母さんとは思えない。本当に美しい女優だ。
ラッセル クロウも良い。同じオージーのニコル キッドマンがメデイアを嫌って ものすごく高い塀と監視カメラで守られた家に住み、外出ごとにパパラッチを巻くために 同時に3台の車が家を出るようにして、パパラッチがそれを追ったとたんに ゴミ自動車に隠れて外出する というようなことをやっているのとは、違って、ラッセル クロウは何も隠さない。表も裏もない人。フットボールチームを持っていて その運営に財産をつぎ込んでいる 私生活でもマッチョな人なのだ。彼はこの同じ監督の「グラデイエーター」でアカデミー主演男優賞を獲った。体が大きいし、アクション映画が良く似合う。この人が 馬に乗って全力疾走させながら、両手で剣を持って敵に向かっていく姿は、まったくもって 黒澤監督の三船敏郎の姿に重なる。
ストーリーは
12世紀後半のヨーロッパ。
十字軍遠征中のロビンは 勇敢な戦士だ。腕も立つが、口もたつ。獅子王リチャードに、率直に「敵国を侵略するのは 仕方が無いが、無意味な殺戮はすべきでなない」と進言して、王の怒りに触れ 仲間とともに刑罰を科せられる。しかし、戦闘で獅子王リチャードは あっけなく殺される。王の死をロンドンにいる王子ジョンのもとに、知らせるための使いが、フランス軍の密使に襲われて全滅した。そこをロビンとその仲間が通りかかり、獅子王のヘルメットと白馬を奪い返す。虫の息になっていた使いの男は、ロクスレイといい 自分の父親から授けられた家宝の刀を父親に返してもらいたい とロビンに言い残して息絶えた。 ロクスレイの父親を思う姿に心をうたれ、ロビンと仲間は 彼の故郷のノチンガムに向かう。
ノッチンガムでは、年老いた盲目の父親が 息子の妻とともに、ロクスレイの帰りを待っていた。ロビンの報告は 息子を失ったノッチンガム領主の父親にとっても 夫を失った妻マリアンにとっても残酷な知らせだった。10年余りの間、男はみな十字軍に駆り出され、働き手の不在に農民達は 疲れきっていた。女達は農作業にやつれ果てていた。
ロクスレイ家で休養をしていたロビンに、やがて、父親は このまま居て 息子として家を継いで欲しいと、懇願する。帰る家がある訳ではないロビンは 乞われるまま ロクスレイ家に留まる。そしてマリアンを妻として 領主の跡取りとして農地の世話をまかされることになった。
しかし、ジョンが国王になると税のとりたてが厳しくなるばかりで 領主達は不満をつのらせていた。ジョン王はフランス人の王女を愛人にしており、裏ではフランス密使が暗躍、イギリス国の内部から すでに独立が蝕まれていた。フランス側の密使は 税の取立てに不満を持っている領主たちの反逆を助長して、イギリス内部から反乱と崩壊を画策していた。そして、遂にフランス軍は大挙して、ドーバー海峡を越え、イギリスに侵攻してきた。
ジョン王も、税の取り立てに抵抗していた領主達も力をあわせて、フランス軍に立ち向かう。激しい戦闘ののち、ロビンの指導力のもとで、戦果をあげ、イギリス軍の勢いに負けたフランス軍は退却を余儀なくされる。
ようやく他国の侵攻の危険が去った。しかし、時を移さずジョン王は、反抗的な領主達すべてを処刑するという暴挙に出た。ロビンはマリアンを伴い、仲間達を集めて、シャーウッドの森に入って身をかくした。
というお話。
ロビン フッドと聞いて、シャーウッドの森を拠点に 悪い金持ちから富を奪って 人々に分けて与える大泥棒を想像しているとちょっと違う。そうなる前のお話だ。どうしてロビンが シャーウッドの森に身を隠さなければならなくなったのかという事情を映画化したもの。
130頭の馬、500人の戦闘術に長けた戦死をエキストラに使ったそうだ。フランス軍の侵攻をくい止める戦闘シーンは 迫力満点。
この映画ではロマンチックなシーンがない。ロビンとマリアンとの結びつきが 普通の男と女の結びつきを越えている。
一度として関係を持たなかったロビンが死地に向かうときに、マリアンに向かって、これが人生の最初で最後という心を込めて アイラブユーと言い、それを受け止めながら マリアンがそっぽを向く。そのときの二人の間に流れる空気の密度の濃さに、思わず涙がこみ上げる。このとき二人は 他のどんな夫婦よりも 心で強く結ばれていたのだ。とても心に滲みるシーン。
やたら体が大きくて、無口で強い。無表情だが心は優しい。そんな、オージーの 代表選手みたいなラッセル クロウが、あまり好きじゃない人も、この映画を観て、「あ、、、頼りになりそう、こんなおとうさん欲しい」と思うかもしれない。無精ひげに白いものが混じるようになって ラッセル クロウ ますます良い味のある役者になってきた。
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