DRAGONBALL EVOLUTION : 映画評論・批評
2009年3月17日更新
2009年3月13日よりTOHOシネマズ日劇ほかにてロードショー
今まで見たことのない“「ドラゴンボール」高校白書”
ハイスクールの駐車場で、ギーク(オタク)だの、フリーク(変人)だのと罵られる悟空。憧れのチチからホームパーティに誘われ、鏡の前でポーズをキメる悟空。確かに、今まで見たことのない“「ドラゴンボール」高校白書”だ。固いことを言わずに頭をカラッポにすれば、このハリウッド的解釈もアリ。だが、わずか87分で、ピッコロ大魔王編までを描こうとするあまり、無理矢理に天下一武道会なネタや、大猿ネタを登場させる、超ダイジェストに突入。そのため、原作ファンには歯がゆく、知らなければ不親切という、どっちつかずの展開が続いていく。
サスペンス演出には定評があるジェームズ・ウォン監督だが、ジェット・リーの「ザ・ワン」同様、壮大なSF世界を描きながらも、やたらミニマムな印象は拭いきれない。キャストでは、“「バレット・モンク」エボリューション”だったチョウ・ユンファより、ファッションからアクションまで、「イーオン・フラックス」な田村英里子が意外に健闘。結果、“原作キャラを借りた「ドラゴン・キングダム」”な感じで、お子様ランチなプログラム・ピクチャーとしては、まずまずな仕上がり。浜崎あゆみが歌う「誰かに決められたルール、そんなもん必要ない」が、製作スタッフの開き直りに聞こえてしまうのは気のせいか!?
(くれい響)