劇場公開日 2009年10月10日

  • 予告編を見る

「粗は目立つが楽しめる。父子のドラマが心に迫る良作。」ATOM 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5粗は目立つが楽しめる。父子のドラマが心に迫る良作。

2009年10月29日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

楽しい

日本の国民的キャラを海外で映画化と聞くと『スーパーマリオ』『北斗の拳』『ドラゴンボール』の悪夢が頭をよぎるが(笑)、今回はCGアニメということもあって違和感は薄め——ていうか、なかなか面白いじゃないですか!
まあ20代半ばの僕はオリジナルの『鉄腕アトム』をせいぜいTV特番くらいでしか目にした事がないので、違和感をあまり感じないのかも。

映画で特に印象的なのは、アトムがテンマ博士に捨てられるまでの過程。
アトムは『A.I.』のオズメント少年のようにロボットの欠点ゆえに捨てられるのではない。
アトムはテンマ博士の事故死した息子の完璧なコピーだ。仕事人間だった博士は父親としての役割を果たせなかった無念を晴らすべく、アトムにありったけの期待と愛情を注ぐ。
だが息子と接する機会の少なかった彼は、死んだ息子を理想化するあまり、息子が本来有していた部分さえも否定してしまう。なんて皮肉だ。

キャラの心理描写が荒い、展開がせわしない等の食い足りない点もあるが、アクションシーンも愉快なキャラもたっぷり。
手塚治虫作品への敬意も感じられるし、何より心に迫る瞬間がこの映画にはある。
親子揃って楽しんで観られる良作です。

浮遊きびなご