Dr.パルナサスの鏡のレビュー・感想・評価
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久々のギリアムファンタジー!
皆がテリーギリアムに求めているのはこういう映画でしょう!という作品でした。
内容はバロン+バンデットQ+フィッシャーキングといった感じでした。
特にバロンを現代的にアレンジした要素が強かったように思います。
バンデットQとしては、セルフオマージュがたくさんあって興奮しっぱなしでしたよ。
■良い点として
・見たかったギリアム節が全て詰まってて、近年のギリアム作品にもどかしさを感じていた方には堪らない作品だと思います。
小人、舞台装置、独特の中世衣装、トリップと初期ギリアム作品のファンタジーが好きな方は絶対観て損はありませんよ。
・レジャーの演技もギリアムテイストにしっかりはまっていて良かったです。
もう一本ヒースレジャーでファンタジーを撮って欲しかったなぁ・・・
・リリー・コールが思いのほか良い味を出してて嬉しかったです。
バロンのユマサーマン的なキャラクターです。バロンの時にユマサーマンにもっと活躍して欲しかったと感じてた人の、かゆい所に手を届かせたような扱い。
■あえていうなら
・CGが少しチープすぎました。「チャーリーとチョコレート工場」の無機質なCG感をさらにスケールダウンしたような感じで・・・
有機的なリアルさ&チープ感がギリアムテイストの鍵だと思うんですが、無機質&チープなCGの場面は、なんとなく残念でした。
・代役陣のジョニーデップとジュードロウはびっくりするくらい良かったんですが、一番目立っていたコリンファレルに少し違和感が・・・。
他の2人が違和感無かっただけに、少しイメージが離れていた点が残念でした。
・モンティパイソン的な、不条理感がかなり薄く、もう少し毒が欲しかったかなぁ。
といった具合ですが、ギリアム節が復活している点や、豪華な俳優4人を一度にギリアム作品で楽しめたりと、是非劇場に足を運んで欲しい1本でした!
渾身の遺作。
“鬼才・テリー・ギリアム監督、待望の新作”。本作は、「ダークナイト」でオスカーを受賞した、ヒース・レジャーの遺作でもあります。撮影期間中に急逝してしまったヒース。製作中止の危機を救ったのは、ヒースの友人だった“3人のハリウッド・スター”でした。
予算が膨大に膨れ上がったり、スタジオと揉めたり、セットが壊れたり、何かとトラブルに見舞われることが多い(って言うか“恒例行事化”してるような…(^^;)テリー・ギリアム監督ですが、“撮影途上での主演俳優の死”という今回の悲劇は、かつて遭遇したどのトラブルよりも、困難でショッキングだったと思われます。通常であれば、製作中止となるところです(いや普通に考えたら、絶対作れませんから!)。ヒースが亡くなったのは、トニーが現実世界にいるシーンを、すべて撮影した後。残っていたのは、トニーが鏡の中の幻想世界に入るシーンでした。そこで鬼才・ギリアムは、素晴らしいアイデアを思いついたのです。『鏡の中では、観客の願望により、トニーのルックスは変化する…』これなら、代役を立てれば映画も完成し、ヒースの最後の演技もお蔵入りになりません。そして前述した“3人のハリウッド・スター”がギリアム監督の許に馳せ参じたのです。ジョニー・デップ、ジュード・ロウ、コリン・ファレル…普通の映画なら『どんだけ豪華やねん!』とツッコんでしまうところですが、彼らは皆『ヒースの演技を必ず世に出さなくてはならない』という思いの下に、出演を快諾したのです。この映画に対する、ヒースとギリアム監督の思いが実った、素晴らしい結果だと思います。
映画の内容としては、毎度おなじみ『ギリアム節、全開!』となっておりまして、何とも上手く表現のしようがない“幻想的なトンデモ映像”と、魅力的なんだろうけれども奇想天外すぎて、こちらも何とも表現のしようがない“非常に難解なストーリー”とで構成されておりますので(一言で言っちゃうと『よ~、わからん映画です(^^;!』)、デート・ムービーなんかには、あまりおすすめ出来ません。『イケメンがたくさん出てる~!』程度の予備知識で観に行かれると、大変な目に遭われるかもしれません。しかしこの映画、完成に至るまでの“劇的な物語(実話)”を知った上でご覧になると、非常に感慨深い1本に感じられることだと思います。いろんな意味で話題になる映画ですね。
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