「エビが来たらみんなどうする!?」第9地区 関口#57さんの映画レビュー(感想・評価)
エビが来たらみんなどうする!?
レビュー
この映画はCMも見ていなかったし、DVD店でちょうど新作商品としてパッケージが目に入ってきたので、手にとってストーリーなどのあらすじを読んで気軽な気持ちで、
「SFアクションものかなー」ぐらいでDVDで見たのだけれど、いきなりにすんごい考えさせられる作品に出会ってしまった。
作品自体に貫かれているのは「もし知性を持ったエイリアンが来たらどうしますか」というテーマを深く掘り下げて書いたもの。
「ET」なんかではとってもやさしい生き物に描かれているが、作品中にも出てくるが、エイリアン(作品中では通称エビ)は
言語は理解するものの、エビは比較的凶暴な性格の持ち主が多く、住まわせるための地区を「第9地区」に限定せざるを得ない・・・という設定になっている。
そして、人々との諍いも絶えず、ついには辺境の地「第10地区」へ排除・移住させてしまおうという計画が始動し始め、そこでいろいろな問題が発生していくのだが・・・
というのが本作のストーリーである。
この映画の主題は「差別」と「偏見」であると思う。
非常に重いテーマだ・・・
故にレビューも少し堅苦しく書かざるをえない。
(ちなみに、この作品はナイジェリアでは上映禁止になったそうな)
本作中にも登場するが、人権擁護団体ならぬ宇宙人権擁護団体が「エビにも人権を!!」というくだりは思わず考えさせられてしまうところだ。
・確かに英語などの言語は理解するが、慣習や法律などを理解しているエビは少なく、それが元で諍いが起きている。
・しかし、それだけで言語を一応理解する彼らの人権を完全に無視して自分たちの好きなように扱っていいのか??
この問題は答えがない問題であると思われるし、それだからこそこうして、映画のテーマとしても十分深く考えさせることができるテーマでもある。
それと同時に、考えることを放棄してはいけない問題でもある。ゆえに映画という媒体を使って監督のニール・ブロムカンプは問題提起をしたかったのだろう。
こうした作品であるから、皆さんに見てもらい、それぞれに考えてもらうことがベストであると思う。
ただ注意しておきたいのは、CGがめちゃリアルなので、虫とかグロい系がだめな人はもう最初から見ないほうがいい。
作品どうこうといったレベルではなく、終始「気持ち悪かった」で終わってしまいそうだから。
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