「【エイリアンを追い出す側から、追い出される側になった男・・。今作の舞台が南アフリカだけに、差別、共存を考えさせられる社会派SF映画。】」第9地区 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【エイリアンを追い出す側から、追い出される側になった男・・。今作の舞台が南アフリカだけに、差別、共存を考えさせられる社会派SF映画。】
ー 序盤は、突如、南アフリカ、ヨハネスブルグ上空に飛来した巨大宇宙船の内部に居た、衰弱した海老に似たエイリアンたちの姿と、彼らを”第9地区”と呼ばれる一時退避させる場所へ連行する様をドキュメンタリー風に描いている。
異色の描き方である。-
◆感想<Caution !内容に触れています。>
・当初はMNU(多国籍エイリアン対策組織)のヴィクスが、MNUの父親の七光りの元、エイリアン達をスラム街同様の”第9地区”から、ヨハネスブルグから100キロ離れた、新キャンプで構成された“第10地区”へ移す責任者に指名され、燥ぐ姿が描かれる。
- エイリアン達への差別行為をする人々の姿。-
・だが、ヴィクスが、エイリアンの中でも知性あるクリストファーの家に入った際に、筒状の容器に入った黒い液体を浴びてしまう所から、物語は”ザ・フライ”を想起させる展開になっていく。
- ヴィクスの右腕は、エイリアンの様に変形し、爪は剥がれ・・。彼は、MNUから生体実験用として、追われる立場に・・。
シニカルな展開であるなあ・・。-
・クリストファーは20年以上かけて、自宅の地下に宇宙船を作っており、それに乗り母船に戻る計画を立てていた。更には、ヒト型ロボットも・・。
- ヴィクスが、ヒト型ロボットと”合体”して、クリストファーを逃がそうと闘う姿は、日本のアニメや特撮モノの影響を受けているのであろう。ー
・半ば、エイリアンと化した、ヴィクスはクリストファーが動かす母船を、希望を持って見ている。そして、皆の前から姿を消す・・。妻へのガラクタで作った花を残して・・。
<3年後に、クリストファーは残された仲間や、ヴィクスを助けに戻って来るのであろうか・・。
物語構成や、テーマ性が面白き社会派SF映画である。
ニール・プロムカンプ監督は、長編第一作の今作の大成功を受け、その後「エリジウム」「チャッピー」を制作したが(いづれも、オモシロイ。)、その後、随分新作を発表していない。
新作を早く観たいモノである。>