劇場公開日 2010年4月10日

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「SF映画界に風穴」第9地区 Minaさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0SF映画界に風穴

2017年5月2日
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鑑賞方法:DVD/BD、映画館

初めて、劇場に5回も足を運んだ。話題の作品だったため期待はしていたが、ここまでとは。2009年当時停滞気味だったSF映画界に新たな命を吹き込んだ名作だと思う。
エイリアンという部外者に対する人間の振る舞い。確かに突然やって来て南アのヨハネスブルグに住み着いた挙げ句、人間の物は奪うは争いを起こすはやりたい放題。それだけを聞けばエイリアンが悪者だが、人間も違法的にエイリアンの人体実験などを行っているという事実もあるのである。主人公のヴィカス含め人間側は異星人(エビと呼ばれている)を害虫としか思っていない。ところが主人公の体に異変が起きてからは、自らも実験体になってゆく。ここで始めて人間側が「怖い存在」という認識に変わってゆく。命からがら逃げ出し助けを求めたのはあるエイリアンの親子。ここでもまた人間の自分勝手さが滲み出ている場面である。ここである条件のもと協力しあうのだが、かなり終盤に差し掛かっても主人公の自分勝手さは直らず、主人公への感情移入が薄いまま物語が進んでいく。これは主人公の身勝手さを描きつつ、主人公の行動=人間の行動として描いているのだろう。方や異星人側は仲間との関係や親子の愛など、情に溢れる描写が多い。
この様に本作は人権についてのメッセージが強い作品だったが、ただの人権をテーマにした映画ならば新鮮味が無いものの、エイリアンというエンターテイメント性を持った存在を登場させることで、ドラマとしても、SFとしても新しい切り口になって非常に見応えのある作品になっている。グロい表現が多い為、耐性の無いと厳しいかも知れないが、かなり胸が熱くなるシーンがあり、 結末に近づくに連れ、動悸が激しくなった。現在続編の可能性もあるのだが、具体的には公開日等のめどは立っていない。だが、このラストであれば今か今かと期待してしまうものだ。

Mina