劇場公開日 2009年8月7日

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G.I.ジョー : インタビュー

2009年8月4日更新

ハムナプトラ」シリーズ、「ヴァン・ヘルシング」で、ハリウッドの新たなヒットメーカーとして名声を確立したスティーブン・ソマーズ監督。デビュー以来、ホラー色の強いエンターテインメントを手掛けてきたソマーズ監督が、これまでの題材とは異なる近未来SFアクション「G.I.ジョー」の監督を引き受けた理由とは?製作理由のほか、キャスティング等について小西未来氏が話を聞いた。(取材・文:小西未来

スティーブン・ソマーズ監督 インタビュー
「これは、自分なりの007映画をやるチャンスだったんだ」

デニス・クエイド(中央)以外はフレッシュな顔ぶれが集まった<G.I.ジョー>のメンバーたち
デニス・クエイド(中央)以外はフレッシュな顔ぶれが集まった<G.I.ジョー>のメンバーたち

――「G.I.ジョー」に惹かれた理由はなんですか?

スティーブン・ソマーズ監督
スティーブン・ソマーズ監督

「実は『G.I.ジョー』の監督をオファーされたとき、いったんは断ったんだ。ぼくの世代にとって、『G.I.ジョー』といえば、米軍兵士のアクション・フィギュアだから、そんなものを映画化したところで面白くなるはずがない、と思ってね。でも、その後、ぼくは誤解していることに気づかされた。『G.I.ジョー』は25年前にまったく新しい形に生まれ変わっていたんだよ。その新しい設定を知って、ぼくはたちまち興奮した。『これは、自分なりの007映画をやるチャンスじゃないか!』ってね。ぼくのお気に入りの『007』は、『サンダーボール作戦』なんだ。最近の『007』も嫌いじゃないけど、ジェイソン・ボーン・シリーズと同じ、リアリズム路線になってしまっている。いまでは、ぼくが子供時代に見た『007』のような映画はだれも作っていない。ショーン・コネリーやロジャー・ムーアがジェームズ・ボンドを演じていた時代の『007』がぼくの理想だから、『G.I.ジョー』を作るにあたり、非現実的で過剰なエンターテインメント大作にしてやろうと決めたんだ。それで世界中を舞台にし、巨大なセットをいくつも作ることにしたんだよ」

――あなたの監督作は一貫して楽観的な娯楽作品ですね。

「そういう映画が好きなんだ。個人的には、世の中に対して思うことはたっぷりとある。ブッシュの悪口を言い始めたら、止まらなくなるほどだ(笑)。でも、映画に関しては、みんなが現実逃避できるような娯楽超大作を作りたい。もともと、弁護士や医者を題材にしたリアルなドラマには興味がないんだ。幸いにも、いまはコメディやアクションといった娯楽作品が人気だ。暗いご時世だからこそ、誰もが現実逃避を求めている証拠だよ」

本作への出演でシエナ・ミラーも ハリウッドスターの仲間入り!?
本作への出演でシエナ・ミラーも ハリウッドスターの仲間入り!?

――ほとんどのキャストが無名ですが、これは意図的なものなんですか?

「その通り。この手の映画は題材そのものがスターだから、フレッシュな役者を率先して起用することができる。たとえば、『スパイダーマン』で、当時は無名に近かったトビー・マグワイアが抜擢されたときのようにね。

でも、スターを必要としている映画でも、フレッシュな役者を起用しなくてはならない場合もある。ハリウッドのスタジオは、いつも主演男優のほうを先にキャストする。だから、男優のギャラが高い場合は、女優のほうにしわ寄せがくる。コスト削減のために、『フレッシュな女優を起用しよう』ということになって。ハリウッド映画で、有名男優と無名女優との組み合わせがやたらと多いのは、こうした理由からなんだ」

――シエナ・ミラーもアメリカでは無名ですよね。

「うん。ぼく自身もよく知らなくて、人から勧められたんで、出演作品を一気に観たんだ。なかには好きになれない作品もあったけれど、彼女だけは常に素晴らしくて。綺麗なだけじゃなくて、スターとしての輝きを持っている。シエナをキャストすることができて、本当にラッキーだったよ」

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