「終わらない思考のスパイラル。」ツリー・オブ・ライフ BLAZEさんの映画レビュー(感想・評価)
終わらない思考のスパイラル。
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美しいモルダウの調べにのせて語られる国村隼の重厚なナレーション。
「家族とは?」「人間とは?」「生命とは?」多くの人はこのCMに大きな期待を抱いて映画館に赴く。
光と影。広角レンズとステディカム、アオリ撮影を多用して紡ぎだされる誰もが知りながら辿り着けない壮大な叙事詩。
断片的な映像。難解なショーンペンの芝居。イメージ先行の回想シーン。
親は誰でも、自分に出来なかったことを子に託し、子はまた親となり、その
子へと繋いで行くのだろうか。それは子にとって時に重圧になりトラウマとして澱のように残る。
劇中、説明的なセリフやシーンは殆ど無い。それ故何が何を指し、表しているのかが理解できない。この映画はストーリーを追ったり、冒頭から結末に向かう類の映画では無いことに突然のエンドロールで気づく。
一人の男を通して描かれた物語は、終焉に向かう人類の未来を憂う哀歌なのか、それとも繋いで来た生命に向けての賛歌なのか。
一点、CGの恐竜はいただけない。抽象的に描く心象風景の中に、具象的表現を持ち込むべきでないからだ。ただ、この難解な映画、面白さは皆無だが、好きか嫌いかと聞かれれば「好きだ」と答えるだろう。
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