「高2にして恐ろしい経験。アメイジング?」アメイジング・スパイダーマン movie mammaさんの映画レビュー(感想・評価)
高2にして恐ろしい経験。アメイジング?
トビーマクガイアとキルスティンダンストの世代なので、焼き直しねぇと、元祖のストーリーを思い出しながら辿り、可もなく不可もなく終了。
グウェンを演じるエマストーンが映る最初で、キルスティンダンストの面影を感じるカットになっているから不思議。
元祖は逆さまのキスシーンがとにかく印象に残ったが、本作はそれがなかった。
オズコープ博士の発想が余りに世の末だからか、その他の登場人物は、いじめっ子フラッシュも、ピーターの継父継母も、彼女グウェンの父も、善人ばかりだった。
それだけに、喪失感が著しく、ピーターも自責の念に駆られて辛いだろうと思う。
大切に育ててくれた叔父との約束を個人的興味で時間を忘れて、叔母を夜道に歩かせた。
叱ってくれた愛ある叔父に一瞬反抗したがために、探しに出てきた叔父が強盗犯の一発の弾で一瞬で奪われた。愛をもって育ててくれた叔母の大切な叔父が、自分の少しの勝手で2度と帰らなくなってしまった。
ただ、亡き父が人のために生きられる人だったと聞いた事もあるだろうが、ピーターのスパイダーマン動機が、叔父の無念の仇を取る個人的恨みで強盗犯を懲らしめたいところから、好きになったグウェンを守りたい・罪のない無防備な人々を助けたい、に変わっていく成長は、両親を亡くした後叔父叔母が無条件の愛を沢山注いで育ててくれたからこそであり、環境が満たされていないようでも、心は育まれていた安心感があった。
グウェン父が娘に近付くなと言い遺す理由も親心としてよくわかるが、オズコープの暴動時にはピーターと協力する懸命な英断だった。でもピーターからすると切ない。
レプティリアンだのケムトレイルだのワクチンだの遺伝子操作だの話題に上る昨今、2012年公開の本作にその要素は詰まっていて、事前お知らせ映画かしら?と。
ただし、遺伝子交配に失敗し、ネズミは破壊と再生を繰り返すトカゲとなる、はジュラシックシリーズで散々既に繰り返されていて、独創性がまるでない。
腕がないなど、遺伝子交配に希望と可能性を見出し、弱者から抜け出したい人は作中のトカゲ人間だけでなく、世界に沢山存在する。
でも、自然には、たかが人間の技術と叡智はなかなか及ばずリスクと危険に満ちている。
そこに私利私欲で手を出してしまった時、戻れない。
街中にトカゲ変貌薬を散布して出た被災者には、グウェンが血清から作り出した戻す薬を散布していたが、屋外で雨のように浴びれば戻るってご都合主義すぎる。
ファンタスティックビーストの記憶を消す雨でも思ったが。
原爆の黒い雨から着想を得たのか知らないが、人間や、全体を動かすってそう簡単じゃないんだよ。
こういう映画から、武器の惨禍を舐めていたり、漏れなく全員を操作できるという単純発想のアメリカに呆れと嫌悪が湧いてしまうことがよくある。