「何故、文盲を隠していたのか?「ロマ」という差別」愛を読むひと aasewqさんの映画レビュー(感想・評価)
何故、文盲を隠していたのか?「ロマ」という差別
21歳差の男女の恋愛物語・・・と思っていたら
そこには、戦争をからめての「ロマ」の存在が描かれていました。
何故、ハンナは文盲を隠していたのか・・・
原作本では、ハンナはルーマニア出身で身体的特徴が描かれているそうで
ヨーロッパ圏の人なら、それを読んだだけで、ハンナの出自が「ロマ」であることがわかるそうです。ロマはジプシーと呼ばれる事もある民族で、元々はインド系の少数民族が、紛争に巻き込まれてヨーロッパ圏にちらばって行ったそうです。ロマはその日暮らしで犯罪を繰り返して流浪の民となっていたので、ヨーロッパ圏では、激しく差別されます。
「ロマが軽犯罪を犯したら殺してもよい」という法律まであったほど・・。
だから、ハンナは文盲を隠したのです。ルーマニア出身で文盲だと
もしやロマ?と疑われるのを恐れたのです。
ユダヤ人よりも迫害されて差別されたロマ。
ハンナは字が読めるようになって、初めてナチでの自分の仕事の恐ろしさを
理解します。そして、マイケルと面会する頃には「死」を決めていました。
映画ではマイケルに冷たくされて、自殺した?と思うような曖昧な
感じですが、原作では「死を覚悟」してるハンナが描かれているそうです。
マイケルが「来週、迎えに来るよ」と言うとハンナがとても悲しそうな顔をするのは、その時 自分は居ないだろう・・・と考えているからです。
ラストにユダヤ人が、ハンナの缶を受け取り、少しだけ涙グミますが
彼女は ハンナも差別され苦悩した人だった事を受け止めます。
この物語は、日本人があまり知らない「ロマ」の差別・迫害が
背景にあることを知らないと??????となってしまうかもしれません。
でも、深く理解すればする程、重くて良い映画です。