「やりきれない」愛を読むひと かみぃさんの映画レビュー(感想・評価)
やりきれない
自ブログより抜粋で。
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ほとんど予備知識を入れずに、甘いラブストーリーのつもりで観たら、思いのほか重い内容にとまどった。
終戦間もないドイツが舞台ということで、多少はそういう要素もあるだろうことは予想していたが、ここまでアウシュビッツ強制収容所、ナチスの罪とユダヤ人といった戦争問題がメインテーマになっていたとは。
そういうわけで、思っていた映画とかなり違っていて、いまひとつ乗れなかった。
それ以前に、二人の人生を変えることになる執拗な逢い引きにあまり共感できなかったことが評価を厳しくさせた。
思春期の青年が大人の女性に好意を抱くのはともかく、三十代半ばから見れば子供でしかない未成年に手を出す女なんて、禁断の愛などと言ったところで、とうてい受け入れがたくって。
そんな危ういロマンスがあってこそ、中盤以降でさまざまな“秘密”が重くのしかかるという創作上の構成を理解できないわけじゃないが、前提が否定的に成らざるを得ないものだと、マイケルの、そしてそれを受けてのハンナの感動的な行動も冷めた目でしか観られなかった。
マイナス要因はこれだけじゃない。
序盤の官能的なシーンが映画の題材に引き替え少々くどいと感じたことや、ハンナが己の人生を賭けてまで隠しとおそうとする“秘密”がその序盤であっさり予想ついたこと。
8年も経ってやっと彼女の隠すその“秘密”に気付いたマイケルの「彼女の気持ちを尊重したい」という考えも「なんだかなぁ。強い絆で結ばれた愛というより、彼女を助けることから逃げてるだけじゃないの?」っていう感想しか持てなかったし、裁判を傍聴した学生たちの討論シーンも取って付けたような印象で、いずれもテーマが響いてこない。
ここまで酷評しておいてなんだけど、客観的にはいい映画だと思うんだ。
評判のケイト・ウィンスレットを筆頭とした俳優陣の演技は皆、震えるほど素晴らしいし、郷愁を誘うBGMも耳に残る。
いい意味でやりきれない重いテーマも時代を反映させた文芸作品として申し分ない考えさせられるもの。それでいてラストの締め方は、どこか希望の光を感じさせる余韻が残るのもいい。
ただ、まだまだ精神年齢が坊やな自分には、正直なところ行間を読めませんでした。