「The keeper の10年前の The Reader」愛を読むひと カールⅢ世さんの映画レビュー(感想・評価)
The keeper の10年前の The Reader
最近見た「キーパー」、「バルーン」のデヴィッド・クロスが若い時の名作を観賞しました。年上の女性役のケイト・ウィンスレットがどんな感じなのかと期待してでもあります。
マイケルが教授に「被告人が隠している事実を知っています」と言う場面で、初めてハンナが裁判での筆跡鑑定を拒み、自分が書いたと証言をしたのは、もしかしたら字が書けないからか?と気づき、朗読を欲したのは読めないからなのだと、やっとわかりました。サイクリング旅でのメニューを差し出されたとき、マイケルに注文をあずけるシーンでのケイト・ウィンスレットの目の表情の演技には胸が締め付けられます。車掌から事務職に昇進を言われたあとのストレスの演技、黙ってアパートを去るシーン。どれも名演技。
邦題が「愛を読む人」だから全然気がつきませんでした。もう少し、邦題なんとかならなかったかなぁと思いますが、邦題がネタばれになるのも野暮ですから、まあ、よしとしましょう。
デヴィッド・クロスは実際にバンドボールの名選手だったので、ハンナに手解きを受けてセ○クスと朗読を誉められてから、自分に自信がついて、学校生活にもやる気が出たことを表す場面として、体育の授業のハンドボールでバシバシとゴールを決めるシーンがちょっとだけですが使われておりました。
しかし、裁判で、罪が軽くなるとわかっていながら行動に出られなかったふがいないマイケル。ハンナの秘密を隠すことの方がハンナのためだと逡巡したのだろうけど。ハンナの電車にハンナにキスしようとマイケルが乗ってきたことをハンナが怒るシーンで、「あなたなんか怒るほどの相手じゃない」と言ったセリフが後半にも効いているような気持ちになりました。文字が読み書きできなことの辛さに、本当の意味で寄り添えなかったお坊ちゃんのダメダメ物語。せっかく、ハンナが片言の文章を書けるようになって(英語とドイツ語では文法が違うから、The から数えて犬とか奥さんとかは当てられないと思いましたけど。それと、ドイツ語で書いて欲しかった❗)、返信ちょうだいねって書いても、手紙の返事も出さないし、面会にも行かない。テープレコーダーが出始めた時代になってから朗読テープを送るだけ。残酷です。最後、刑務所の食堂で「あの頃のことを思い出すことはありますか?」とハンナに聞く。ハンナが、「私たちのこと?」と聞き返したのに、無視。ハンナからの手紙をしまう引き出しを足で蹴って閉めていましたよね。
思春期の【娘】に自分の初体験の相手の話してどうするのよ?息子ならまだしもと思いました。レイフ・ファインズがお気の毒でした。なんで、返事を書いてあげて、手紙の引き出しも手で丁寧に閉めないのかい❗アパートを借りてあげて、サイクリングに行った時のような木立の絵を飾っていたのに。わからんやっちゃ。所詮、男と女はすれ違いなのですかね?
アカデミー主演女優賞のケイト・ウィンスレットの魅力満載の映画でしたがモヤモヤしました。
気持ちを変えたいくらい、重たい映画でした。
ケイト・ウインスレットはこんなにひょうきんな役どころもこなしますから、是非見てカールさんも元気出してください。
彼女ホントにたいした俳優です。
「おとなのけんか」