劇場公開日 2009年6月19日

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「足りない・・・チョット・・・が。」愛を読むひと L’argentさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0足りない・・・チョット・・・が。

2009年6月22日
鑑賞方法:試写会

悲しい

知的

難しい

この作品を観るにあたり、B・シュリンクの原作を読み返しました。

原作では、二人のラブシーンはもっと緻密に、濃厚に描写されていました。
シネマでは、何故、マイケル(原作ではミヒャエル)がハンナにそこまで惹かれていったのか?が、あまりよく理解し難いのではないかと思います。
どうやって、〇〇をするために大切な▲▲を☆☆したのか?
などは、台詞もなくわずか数分(1分あったか?)の映像だけでは分からないと思われます。

要の裁判のシーンは、原作者がドイツ人のためか、この裁判の意味を詳細、かつ、もっと大きなテーマとして捉え描いており、むしろ裁判の内容に重きを置いているかの様です。
シネマでは、そのナチの犯した罪の重さを深く掘り下げて描いておらす、物足りなさを感じずにはいられませんでした。

しかし、原作は原作。映像化されたシネマはあくまでシネマ。
別物と考えるのが正解だと思いますので、それはそれでよし、とすべきですね。

著者はK・ウィンスレットのキャスティングに満足しているそうで、彼女も今までのイメージとは異なる一面を見せ、真摯に静かに内なる辛さを抱えて苦しみに耐える姿を熱演してくれていますが、ワタシ的には、もう少し「憂い」や「翳り」を湛えた役者さんに演じてもらいたかったです。

L’argent