劇場公開日 2012年3月31日

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「誠実でいたいだけ」スーパー・チューズデー 正義を売った日 いずるさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0誠実でいたいだけ

2012年12月8日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

知的

ライアン・ゴズリングの無表情は迫力があって良い。
邦題がちょっと残念ですよね~内容を表していない気がします。

選挙活動ではありきたりなネガティブキャンペーン、相手の不利な情報をリークしたり、他の議員に支持を取り付けたり、そんなものは当たり前。それでも知事の信念や理念を信じて、彼の当選の為に全力を尽くすのが、ライアン演じるスティーブです。頭も切れるし、人の説得や求心に長けていて、演説の原稿を任せられたりするほど。
そんな優秀な彼が尊敬して、この人なら世界を変えられると本気で支持していた人は、自分が思っていたような立派な人物ではなかった。若い心はそれだけで裏切られたと感じるものでしょうけど、それを押し殺し、役立とうと懸命に手回しをするのですが……

テーマは、情熱のある若者も社会の洗礼によって冷徹な大人になる、とかそういうことでしょうか。

最初は食い入るように演説を見ていて、心酔しているかのような様子だったのに、最後はチラッとも見ていない。
全く関心を引かないものになってしまった。
その心の変遷を思えば悲しい。

少し、彼女へ向ける感情が説明不足な印象。
好きなの?本気なの?どっちなの!はっきりしなさいよ!
って感じです。
本気か遊びか分からないから、彼女に同情したのか、それとも愛していたから悲しんだのか、もやもやします。
雨の車のシーンは、それは色んな感情が含まれているのでしょうが、
どの感情が一番強かったのか、とはっきりさせればもっと良かったのに。

糾弾のシーンで表すのはどれだろうとワクワクしてしました。
切り捨てられたことへの怒り?それとも失望?それとも彼女への愛情?同情?
しかし、どれかの感情を強く表せばいいのに、彼が選んだのは無表情、です。
意味深です。感情をそいだ様。

いずる