「知事モリスの最後?ステーブンの倫理観?」スーパー・チューズデー 正義を売った日 Socialjusticeさんの映画レビュー(感想・評価)
知事モリスの最後?ステーブンの倫理観?
政治社会において倫理感は二の次になっているように思う。それをここで暴いているというか大事な点なんだと知らしめようとしている作品だと思う。
選挙戦など政治は私たち一般人はマスコミを通して聞いたり読んだりする。それがどう脚色されているかありのままを伝えているかも、明かされない場合があるだろう。米国はかなり透明性があり公文書も残すが、舞台裏の混乱を見せる映画は面白い。
予備選がもう大統領選挙だとここで言っているところも、ここでの一騎討ち(3月15日)でだれが大統領なれるかどうかが決まるということで面白そうだと思った。それに、民主党のモリス知事(ジョージクルー二ー)の政治見解より、キャンペインマネージャーでボス、ポール(フィリップ・シーモア・ホフマン)、トム(ポール・ジアマッティ)や ポールの直属のスティーブン(ライアンゴスリン)見解やスピーチスタイルで決めていけるというオープンマインドな選挙戦略も面白い。そして、予備選の政治ポリシーは共和党にとっても民主党にとっても、『一般教書演説』と言える
ほどの価値があるということらしい。
最初スティーブンは民主党の候補、モリス(知事でもあった)が社会を変えていけると信じている。モリスのスピーチの指導や言葉選びも的確ではスティーブンは有望株だ。それに高校を卒業して軍に入りその後大学へ入ることにより授業料を無料にとかなりリベラルでありながら理想論を持っている。最終的に、上院議員トムソンがモリス候補を正式に民主党推薦する。スティーブンはモーリーの妊娠をネタにモリスを強請って、ボスを蹴落とし正式な選挙対策委員長になる。悪賢く交渉する能力で出世していきそうだ。
最後のシーンにもっとも感激するのでここに説明を加えて、私の予測を書く。あくまでも、私の判断でそれぞれ人は別なことを考えるかもしれない。 極端にいうと、このシーンを考えると、ほかのシーンがいらなくなるほど強烈なんだよね。
スティーブンはニューヨークタイムズの人に『本当の友達じゃない』と言って入場を断り、会場に一人で入るわけだが、そこにはインタビュークルーが待っている。そこで、ジョン キング(CNN)とのリモートインタビューがある。スティーブンの耳にはイヤホーンが入っていて、そこで聞こえるのモリスのスピーチ。(トムソンが民主党推薦したので、モリスの勝利に決まっている)モリスが『誠実さと尊厳』がいかに大切であるかつにいてのスピーチを終えると、次に、ジョン キングはスティーブンに、予備選を取り巻くイベントがどのように展開されたかについての洞察をと聞く。ここで、映画は終わる。
このあと、どう考えるのはあなたの好きだが、題で答えがわかるね。でもこの映画のラストシーンにはドキドキする。私が、スティーブンだったら、明らかに自分の政治生命を終わせるようなことになっても、全てを暴く。スティーブンも選挙という死活問題を体験しているが、理想論の高い人間にとってモリスのような裏表裏一体の行動は許せないと思う。ここでここで人間性が問われるし、モリスの行動が大統領のモラルになってもらっても困るし、モーリーの仇をと考えているのかもしれないし。(愛し始めたときだったのかもしれない。)インターンモリーの(エバン・レイチェル・ウッド)扱いは誠実だったろうか? 誠実さと尊厳は口だけであるモリスが、これをみなの前で主張するほど『まやかし』はない。この不誠実の人間が大統領になるわけだ。現実にはオバマ大統領がスキャンダルのなかった大統領だと言われるくらい数少ないわけだから、政界では大きな問題じゃないように見える。しかし、スティーブンはこのままモリスを大統領にさせるだろうか? 民主共和両党の選挙対策委員長は明らかに現実主義者だが、スティーブンの先述べた言動からもわかるように、彼は政治に興味があり、才能があり、人より野心はある。青二才じゃないがこの言葉に近い未経験さや人柄を持っている。それにこの『告白』によって彼の生命もかかっている。彼の表情から察すると、結果がどう動くかイチカバチカかけているようにも見える。
あともう一つ好きなシーンがある。モーリーとスティーブンのバーでの会話やモリスと奥さんとのタクシー中での会話。選挙問題と政治スリラーの構成が急にとりとめもない会話で全体が緩み、彼らの選挙政治を離れた一般人の世界を見せてくれる。脚本がいいねえ。
映画を観てジョージクルー二ーが監督が民主党候補のモリソンを務めている。クルー二ーの映画を観たことがなく彼の背景もよく知らないが、父親は米国で有名なジャーナリストでその姉妹は俳優だということは知ってた。脚本もいいのかもしれないが、これは1級の政治スリラーであり、ロマンス、コメディーのようなところもあり、盛り沢山だが、最後が映画『真実の行方』のように圧巻で、私も善悪の判断を間違いたくないと思った。