「いかにもダグ・リーマン監督の作品らしくサクサクと楽しめました。」ジャンパー 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)
いかにもダグ・リーマン監督の作品らしくサクサクと楽しめました。
映画愛好会コミュで「三部作らしい」という事前情報を見てから鑑賞したので、ストーリーの説明不足もそんなに気にならず、90分間サクサクと楽しめました。ダラダラと説明口調の無駄な台詞が続く作品よりも、この割り切りようが余程快適です(^.^)その辺のスピーディーなところはいかにもダグ・リーマン監督の作品だなぁと思いました。
テレポートは実に映画的なテーマだと思います。その分大昔から取り上げられて来ましたが。この作品では、新たなアイディアを加えて、これぞVFX映像の極みというべき革命的なテレポートシーンを編み出しました。東京ロケも結構シーンが長くて、親近感を持ちましたね。
東京以外にも、世界の観光地をてきぱきとアクセスするので、映像的に飽きさせません。デヴィッドと一緒になって世界旅行が楽しめますよ。能力に目覚めてまず銀行強盗からおっぱじめるところもなかなか人間的なのではないでしょうか。
ただこの脚本では、内容が薄いと不満に思う人も多いでしょう。片親で育ったデヴィッドの心の闇には全く触れていないなど、心理描写の深みとか感動とかは期待するのが酷だと思います。そういうものを期待する作品ではないでしょう。娯楽作品として、特にデートムービーとしては、二人で語り合うネタが盛りだくさんあっていいのではないでしょうか。
この作品をあえて比べてみるなら、『HEROS』のヒロ・ナカムラです。彼のテレポートシーンは、一瞬で変わってしまいます。ごくオーソドックスです。それに比べて『ジャンパー』では、テレポート前の環境も引きずっててレポートするのが今まで無かった点ですね。水の中でジャンプするとジャンプ先も浸水してしまうという描写は今までなかったことです。
ヒロの場合も、誰かを巻き込んでテレポート可能ですが、『ジャンパー』の世界では、能力を鍛えれば建物だって動かすのは不可能ではないようです。
テレポートシーンの面白さでは、『HEROS』よりも『ジャンパー』のほうがはるかに面白いですよ。
そしてジャンパーを追い詰めるパラディンという魔女狩り集団も、超能力に対抗する技術とノウハウを持っていて、その手法もなかなか説得力はありました。
パラディンがなぜジャンパーを殺害するのか、その謎は解明されませんでしたが、「魔女狩り」という宗教をバックにした背景がある以上、次回作品でその狂信ぶりのルーツと存在理由も明かされるでしょう。