「「家族経営」を掲げるダニエルの孤独」ゼア・ウィル・ビー・ブラッド talismanさんの映画レビュー(感想・評価)
「家族経営」を掲げるダニエルの孤独
ダニエル・デイ=ルイスがとにかく凄く、女性が一切関わらない設定に監督の意図を感じました。音楽とてもよかったです。ポール・ダノ、20代半ばで既に素晴らしかったです。内容は重くて辛くて悲しかったです。
一匹狼で銀を採掘していたのを仲間と共同の原油採掘に変えてからのダニエルの働きぶりは見事だった。勘の良さ、頑強な身体と体で覚えた技術、リーダーシップ、相手を見抜く眼力、謙遜しながら実はとても巧みな詐欺的話術。彼は能力と野心の両方、本来の意味でも比喩的意味でも真の山師の才覚を与えられた人間だ。本人も言っているように自ら採掘するから凄いのだ、地面師よりも!「家族、子ども」「(カルトであれ)信仰」「お金、投機、土地」、これらは「アメリカ合衆国」にとって欠かせない要素だろう。それぞれを上手く利用してのし上がっていくダニエル。H.W.は父の「腹違いの弟」であるヘンリーの日記を読んで何かを感じたから火をつけたんだろう、「父」を守るため、または取り戻すために。結婚したH.W.が妻とメキシコへ行く、これはダニエルにとっては聞きたくないことだった。自分から離れる?自分と同じ仕事をする?もう全部言ってやる!その合間に映る幼く可愛らしいH.W.と若いダニエルの微笑ましいシーンが胸に痛かった。
最後は胡散臭い者同士の対決。ダニエルが落とし前をつける、自分が教会でやられたのと同じやり方で。ボウリング場が2レーンもある豪邸の中で酒に溺れる彼の孤独はこれ以上ないほど深く深く、水も油も血もあるものか。後からこの映画を思い出すたび悲しくなる。
おまけ(2024.10.2.)
たった一人のダニエル祭り。5本目の上記映画を見て3日後の今日:ダニエル・デイ=ルイスが俳優として銀幕復帰というニュース!夢のよう💕