「あんぐり」ゼア・ウィル・ビー・ブラッド dobubobaさんの映画レビュー(感想・評価)
あんぐり
マイ・レフト・フットのダニエル・デイ・ルイス主演のこの映画ですが、正直、ラストに唖然としました。あんぐりと開いた口がふさがらないまま、劇場をあとにしました。
3時間弱の映画ですが、ダニエル・ディ・ルイスの演技に圧倒されつつ、ぐいぐいとエンディングまで持ってかれます。一言でいうと傑作には違いないのですが、私にとってはものすごくショッキングな映画でした。(何度も言いますが・・・)たぶん、多くの人にとってショッキングな映画だと思います。事前に、観る人を選ぶ映画という情報は得ていたので、ある程度予測はしていましたが、万人受けはしませんね。
内容はアメリカの石油王の成功までの怒涛の人生を描いたもので、己の成功のために、あらゆるものを犠牲にして、突き進んでいきます。映画好きの作家志望の友人C君と見に行ったのですが、タイトルのBloodには、あらゆる意味がかけられているんじゃないか、という結論に達しました。実際の噴出す「血」と、血縁の「血」、そしてキリスト教の中における宗教的な意味での「血」です。
主演のDaniel Day-Lewisは間違いなく素晴らしい演技で、ホラー映画とまでいえるくらいの恐ろしい演技を嬉々として演じていますが、オスカー受賞間違いないっす。昨年のForest Whitaker同様、ダントツの存在感です。共演のPaul Danoもなかなかいい演技でした。彼は2006年の名作Little miss sunshineで、色盲の兄役ででていましたね。
あと、音楽が、実に印象的で、最近の映画では音楽がすげぇと印象に残った唯一の映画です。冒頭の不協和音は、非常に不穏であり、胸をかきむしられるような不安感をあおられます。途中のとあるダイナミックな事件の最中の繰り返されるリズムは今でも耳に残っています。
どれをとっても、私にとって2007年最も強烈な怪作。間違いないっす。