ルイスと未来泥棒 : 映画評論・批評
2007年12月25日更新
2007年12月22日より丸の内ピカデリー2ほかにてロードショー
原作者のカラーが強いが、最後はディズニーらしい作品に
ウィリアム・ジョイスの絵本「ロビンソン一家のゆかいな一日」を原作とする、ディズニーでは2本目のフルCG長編アニメーションだ。絵本作家として知られるジョイスだが、フォックスの「ロボッツ」やTVシリーズの「ローリー・ポーリー・オーリー」でも原案や美術を手掛けている。元々はピクサーのメンバーとして「トイ・ストーリー」や「バグズ・ライフ」にも参加しており、フルCGアニメという分野を開拓してきた1人でもあるのだ。今回も未来社会のデザインに、ジョイスのカラーが強烈に表れているが、そのあまりにも奇想天外な描写に途中で付いていけなくなる人もいるかもしれない。だが御安心を。最後にはちゃんとハートフルに締めくくる、ディズニーらしい作品に仕上がっている。筆者は条件を変えながら3回見ているのだが、いつもラストにはホロっとさせられてしまう。これはスティーブン・J・アンダーソン監督の、自分も養子に出されたという経験も色濃く影響しているだろう。
なお本作は、国内29館の劇場で立体3D上映されているが、ディズニーは元々この作品を2D版としてしか作っていない。それを立体3D映画に変換したのはデジタル・ドメイン社である。彼らは、ほとんどのフレームを手作業で修正するなど、気の遠くなるような地道な処理を行って見事に3D化させた。2D版と3D版では微妙に異なっているので、ディズニーマニアの方は見比べてみるのもいいだろう。例えば、発明品の失敗で落ち込んだルイスが、初めてウィルバーと出会う屋上の配管に注目すると、被写界深度(ピントの合う範囲)が異なることを発見できるはずだ。
(大口孝之)