「全部足して割ったら普通」GOEMON 病気の犬さんの映画レビュー(感想・評価)
全部足して割ったら普通
映像技術は問題なく高いが、そも映画という表現ソフトへの理解が圧倒的に足りない作品。良いと感じるシーン自体は多いのだけれどもゲーム映像のようでストーリーやキャラクターを補強するような使い方が出来ていない。
脚本が拙くてキャラクター描写が出来ないから歴史上の人物を使うことでそれを補っているだけ。姑息。しかも歴史へのリスペクトがゼロなのか日本史を一度も履修したことがないのか、浅すぎる知識のせいで余計に混乱させるような結果となっている。
ゴエモンを引っ張り出してカエルの置物は使わず、なぜか鼠小僧を足して、忍者にした上信長の家来にしてみる節操のなさは哀れみすら感じる。
ノーモア戦争という愛に満ちたメッセージを使う前に脚本家が登場人物にもっと愛を持った方が良い。そうすればこのなんの生産性もない、正しいだけで無味無臭のテーマでしか物語を描けない、このプロとして絶望的な才能も少しはましになるだろう。
監督も監督でこの脚本をうまく使う気が微塵も無いようで、僕の考えたカッコいい。を表現することに終始している。脚本上の大切なシーンの数々でこれ以上ないくらいのおざなりな演出の数々。ここぞという場面の選択は全て自分の得意な演出ができるかどうかにかかっている。精々特技監督がいいとこの人物である。
読書もお勉強も嫌いな雰囲気天才としか評価できないが、見所だけは作れているので及第点はつけておく。
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