中国の植物学者の娘たちのレビュー・感想・評価
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ただただひたすらに美しい
見方によればとんでもない物語だが、そんなことはほんの些細な事。美という概念のもとには人間の倫理などは論ずるに値し得るだろうか?この結末は切なくも儚い二人の少女たちの実存そのものであったのだろう・・・ちなみにミレーヌ・ジャンパノア演じたミン・リーの外国名はヴェラ。「真実」を意味する言葉であると同時にその意味には「燃えるような愛情」もある事をここに記しておく。
籠の鳥を野に放つ
絶体父権の名家の庭に
囲われて囚われて、“亡妻の代用品”のように、そして“使用人”のように扱われていた娘アン。
独りぼっちのアンの心の扉をノックしたのは震災孤児のリー・ミンだった。
エリック・レヴィのストリングスと二胡の音が、孤独だった二人を静かに包んでゆき、紫水の水面にそっと彼女たちを解き放つラスト・・
花よりも軽く、銃弾の値段よりも安いのが女の命か。
監督ダイ・シージエは、官費留学生としてパリに渡ったあと本国に戻らなかった人だ。
バルザックやフロイト そして孔子など、思索の深い小説を寄留の地で、フランス語で発表し続けているのだと。
納得の本作だ。
監督がなした《放生会》は、女たちの解放と自然な愛情が、祖国中国でも受け入れられるようにと祈ってなされたものと思う。
鳩は何羽要るだろうか、108羽か、それよりもっとか。
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赤い花、
赤い提燈、
赤いラベルの酒瓶・・
そしてリンの鼻血と破瓜の血。
女も生きている人間なのだと、緑と蒼にむせ返る山水の村に、赤い挿し色が生きて息づいて訴えている。
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追記:
桂林かと思ったらロケ地は“諸般の理由により”ベトナムとのこと。
「生めよ増やせよ政策」をやったかと思えば「一人っ子政策の強制」。
富国強兵で世界の中華になろうとする中国にとっては、産児制限を意のままに操れなくなる同性愛は、儒教思想への軽視を差し置いて共産党国家に対する反逆・重罪なのだろう。
「同性愛は生産性がない」とぶち上げた日本の杉田水脈さんとか云う国会議員の先生もおられましたがね
┐(´д`)┌ヤレヤレ
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天女と見紛う美しさ
<うろ覚え/思い出しレビュー>
98分。長さも良いよね。長すぎず短すぎず。また結末も結末なので、あんまり長いと辛いし。
他の方のレビュー読んで、撮影地ベトナムって初めて知りました。同性愛がテーマだと公開以前に撮影も駄目なのね、、中国。
(他国で撮るか、「ブロークバック・マウンテン」(監督アン・リー)みたいに、他の国の話をやるっきゃないのか、、)
すごく綺麗で、悲しく、切なく、美しいお話です。女優二人とも綺麗だけど、特に学者の娘役の人…! アロマテラピー的に?なんか、お香かなんか焚いて蒸し風呂っぽいのをよくするんだけど、肌も体も顔も綺麗とか。チートにも程が(笑)
二人で、川縁で鳥を放つシーン。美しすぎです。「心に残る恋愛映画のワンシーン」ベストテン入り確定。
豊かな映像美で中国のタブーに挑む
ほとんど話題にものぼらなかった正月映画で、いまだに名うての映画ファンにすら知られていない作品なれど、なかなか見どころが多い。
この作品のポイントは、中国ではまだ世間的に認められていない同性愛を描いてみせたことだ。物語の背景は四人組事件より前で、軍の影響力が強かった頃。そんな社会の中で、孤児院から植物園の世話係に派遣されたフランス人との混血女性(なかなかの美女)と、植物園を営む男の娘とが禁断の愛を貫こうとする。結局は悲恋となるその愛になぜ走ったか、それは、男の存在が絶対で女性は虐げられていたという、当時の女性蔑視の風潮にも要因があった、ということにまで踏み込んで描いている点が、この作品の見どころのひとつなのである。
もうひとつの見どころは、映像の美しさ。植物園内もさることながら、娘たちが遊びにいく幽玄な渓谷の風景が実にすばらしい!。一見すると、桂林のようにも見えるが、実は撮影は中国国境を越えてラオスで行われていたらしく、まだほとんど知られていないラオスの自然景観がスクリーンいっぱいに描かれていたのは、とても興味深く感じられた。最近、私の同級生の女性が夫婦でラオスに旅行してとても良かったことを熱く語ってくれたのだが、この映画のような風景を目の前にしていたら、いい旅行になるのは当然!、だろう。
もし、ラオスへの旅行が一般に知られるようになれば、ひょっとするとこの映画も再評価されるかも。でも内容そのものもいいので、ぜひ一見をおすすめ、します。
同性愛を許さない国
同性愛という題材なので、中国では撮影許可が出ずにベトナムで撮影されたそうです。
ベトナムか~、中国にもこういった風景あったと思ったけど似た所で撮影したのかなぁ。
学者の娘役の子が、これまたアジアンビューティーで綺麗な雰囲気が出てます。
同性愛、、二人の若い娘が愛し合っています。
題材はともかくこの監督さんの世界観に憧れます
2005年カナダ・フランス合作映画。98分。テレビでやってて、なにげに鑑賞したら、けっこう引き込まれて観てしまいました。全編中国ロケの「同性愛」をテーマにした作品でございます。
内容は、1976年の中国、身寄りのない若い女が、孤児院の庭の手入れを学ぼうと、高名な植物学者の植物園に住み込みを始めます。そこで会った学者の娘と恋愛関係になるが、同性愛は当時のこの国では国家犯罪的タブー。二人は秘密の関係を結びつづけるが、植物学者の願いや、恋人と離れたくないという思いから一人息子と結婚。そこから悲劇が起きるという筋立てです。
展開的には、ほぼ読み通り。ですが、男尊女卑きわまりない環境で、二人の女が愛を育む映像が、とても綺麗で、さらに色彩感覚も落ち着きながらも華やか。途中からは物語よりも映像に気がいっていました。
98分という短い上映時間ながらも、本作の時間の流れは、たゆたっていて重厚。ゆっくりと余裕を持ちながら、本作は一歩ずつ着実に、流れるようにエンディングへと進んでいくのです。この世界観に、完全に引き込まれてしまい、とても充実した映画体験ができました。
ちなみに、一人息子役の俳優さんが小川直也にそっくりでした。
死因は「同性愛」、だから「死刑」
映画「中国の植物学者の娘たち」(ダイ・シージエ監督)から。
「中国ではタブーとされる“同性愛”というテーマに挑んだ意欲作」
というフレーズが私のアンテナに引っ掛かり観たが、
結局は、心臓発作を起こした中国の植物学者の直接的な死因が、
2人の美しい女性たちの同性愛ということで、判決は死刑。(汗)
主人公2人の裸体と、アジアっぽい音楽と風景には満足したが、
この映画を通して、監督は何を訴えたかったのか、わからなかった。
まだまだ中国は、男女差別が横行している国なのか。
新婚での初夜、新郎が突然怒りだすシーンがある。
「なぜ処女じゃない、誰と寝たんだ」と暴力をふりながら。
父親の足を、毎日、娘たちがていねいに洗うシーンも出てくる。
映画とはいえ、馴染めないシーンの連続に、ちょっと戸惑った。
この映画を思い出すためのワンフレーズは、
「死因は『同性愛』、だから『死刑』」としてみた。
どうして中国では同性愛がタブーなのか、そんなことが気になった。
民主化が進む中国で、この考え方はこれからの課題となるに違いない。
じっくり見守っていきたい。
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