「これは絶対原作を変えちゃダメ」アイ・アム・レジェンド 77さんの映画レビュー(感想・評価)
これは絶対原作を変えちゃダメ
数年前にレンタル開始してすぐ借りたとき、予告やタイトルのイメージと全然違うことに驚いたけどウィル・スミスが良かったからこれはこれでアリだったかも、という印象だったのですが、
久しぶりに昨日金曜ロードショーで観てみると感じ方が全然変わってました。
映画ってそういうところも面白かったりします。
まずはサムに助演男優賞をあげたい。
1回目もすごいわんちゃんだと思ったけれど、改めて観ると凄さに身震いしてしまうくらいの“俳優”で、なんであんな顔ができるのか気になってしょうがなかったです。
この映画の1番の見せ場は間違いなく彼の最期でしょう。
そして、大好きなウィル・スミスですがこの映画に限っては彼じゃない方が良かったかな?とおもいました。(そしてシュレックのくだりあるのに吹き替えに山寺さん使うのも絶対おかしいw)
白衣よりも銃が似合ってしまっていたので悲壮感が足りなかったような。(それでもウィリーの演技はやっぱり凄く良かったですが。)
ああなってしまった時、自分ならどうするだろう。
電気も水道も使えなくなって“社会の歯車”の凄さを思い知らされて。
バトルロワイヤルとか見てても、友達を殺して1人で生き残るくらいなら、友達と自殺する道を選ぶだろうなーと思ってた私ですが、
最近では極限状態になったらやっぱり生きたいという本能が「もしかして」という希望に賭けてしまうものなんじゃないかと思うようになりました。
絶望の中でもお腹が空いて目が覚めて生に執着するのが生き物かなって。
だから主人公の行動の1つ1つにすごく納得して切なくなってしまいました。
そして主人公みたいに状況を変えられるような科学者でもないし、サバイバルに役立つ専門的な知識や技術があるわけでもないし、
自分の物の知らなさに少し寒気がしましたw
この映画の評価が低い理由はラストにあります。
あそこを原作通りにしなかったらウィル・スミスの熱演もなんだったの?ということになってしまいます。
そういった意味ではもう1つのエンディングの方が良かったと思うけどそれでもまだ弱い。
“I AM LEGEND”の真意は価値観の逆転なので。
主人公は人類の為に諦めずにゾンビを元に戻す薬を作っていた。
けれど地球においてすでにマジョリティーであるゾンビ達には主人公こそが「なぜか攻撃してくる謎の危険な生物」であってゾンビ=新人類にとっての反勢力でしかなかった。
この“気付き”こそこの作品の全てだと思うので月並みのハリウッド流に脚本を変えちゃ絶対にダメです。
人類、新人類という極端な例じゃなくたって、
良かれと思ってることが、とか礼儀作法が国によってはタブーになったりとか180゚価値観が違うことって結構あったりします。
私はたまに人間より力を持った生き物がいたら、
国産人間は高く売買されたり、
お祭りの屋台でゲーム感覚で売られたり、
動物園で人間触れ合いコーナーが儲けられたり
生まれてすぐ虚勢されたり、
はたまた絶滅危惧種として持ち上げられたり、
家族として迎えられたり、
みたいなことが当たり前に行われるのかなーと考えて怖くなったりします。w
疑うこともしなかった固定概念には不思議がいっぱいなのです。
余談ですがほぼドラえもんしか知らなかった藤子F先生がそんな話をいっぱい描いているのを昨日知ってびっくり&感動しました。
ほんとに世の中には知らないことがいっぱいです。
原作のラストに忠実だったらアメリカでは受けないかもしれないけど素晴らしい作品になっていたと思います。(女の人が蛇足に感じたので余計に)
でも2種類のエンディングがあるって面白いですね。
パラレルワールドのように脚本があって役者がいて匙加減でお話が変わる。“絶対”が存在しないのが興味深いです。