劇場公開日 2008年5月24日

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「ランボー リアルな戦場」ランボー 最後の戦場 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ランボー リアルな戦場

2020年12月5日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、映画館

怖い

興奮

シリーズ4作目。2008年の作品。
実に20年ぶり!
こちらはリアルタイムで初めて劇場で観た。

ミャンマー軍事政権によるカレン族迫害が激化。
ある日NGO一団がやって来て、タイのジャングルでボート運搬やヘビ獲りで生計を立てている一人の男にミャンマーまで案内を頼む。
その男は危険だと断るが、メンバーの熱心な女性に懇願され、承諾する。
小さな村まで送り届けたが…、その後彼らが野蛮なミャンマー軍に囚われた事を知らされる。
彼らを救出する為やって来た傭兵たち。
同行するその男。
傭兵たちもNGOメンバーもミャンマー軍も知らなかった。
その男こそ、ジョン・ランボーである事を…!

話的には『~怒りの脱出』と『~怒りのアフガン』を足したような感じ。
つまり、救出アクション&現状を訴える社会派の一面。
ならば『~怒りのアフガン』寄りで、こちらもアンバランスのように思えるが、明らかに違うほどの迫真さ。

ミャンマーでこんな事が起きていたのか…!
野蛮なミャンマー軍には慈悲も一切無い。
女性は犯され、民間人…老人も子供も皆虐殺される。
あの当たるまで続けられる“地雷ゲーム”は戦慄。
その鬼畜の所業にはランボーでなくとも怒りがこみ上げてくる。
残虐な奴らに、残虐な鉄槌を。
ミャンマー軍は許し難いが、浅はかなボランティアにもチクリと風刺が効いていたような気がする。

シリーズで最もグロい。
血肉、頭手足、飛び散る地獄絵図。
ランボーが敵兵の首を素手でかっ切るシーンが昔見た時から特に印象的。
『ロッキー』は何本か自ら監督しているが、『ランボー』は本作のみ。スタローンの監督作ってオーソドックスな印象なので、こういうのも撮るんだと意外な気もした。
しかしこれが、ランボーが見た戦場のリアルだろう。
自分の心に深い傷を負ったベトナム戦争での後遺症などもっとかもしれない。
そういった意味では超人的なアクション映画を期待すると肩透かしだが、生々しさや悲惨さでは原点回帰。

さすがに20年経ち、スタローン/ランボーも歳を重ねたが、ある台詞は重みを増した。
「無駄に生きるか、何かの為に死ぬか。お前が決めろ」
最後の一節はこうも聞こえる。
「自分で決めろ」

ランボーが決めたラストに、思わず心が穏やかになった。
やっと、この男にも平穏な時が…。

…と思ったら、また新作が作られた!

近大