劇場公開日 2008年8月23日

「松ケンのヨダレは飼い牛からの影響か?」デトロイト・メタル・シティ kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0松ケンのヨダレは飼い牛からの影響か?

2022年9月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 松山ケンイチ信者が少なそうな日を選んでの鑑賞。メタルとフォークという音楽はどこか相容れるものがあるのだと昔から感じていた(作品ではポップミュージックと言っていたが)。学生時代に所属していた軽音楽部にもメタルとフォークをかけもちする男がいたし、アルフィーの高見沢なんてのもそうした二面性ミュージシャンの一人だろう。

 デスメタルという言葉すら知らなかったのですが、ヘヴィメタルの中でも“死”、“悪魔”、“地獄”といった言葉が使われる、教育上よくないジャンルの一つらしい。物語は、主人公の根岸崇一(松ケン)はポップミュージシャンを夢見て、今年教育界に激震が走った大分県から上京するところから始まる。あっという間に彼はロックスター。しかし、彼がやりたかった音楽とは違い、デスメタルのギターとボーカルを嫌々ながら続け、それが圧倒的人気となってしまった。

 ポップミュージシャンを目指すこと自体がかなりのマイナーだと思うけど、頭もよく大学で勉強してたというところが東大卒のオザケンをも彷彿させる。その部分が、田舎に帰省したとき、高校をやめてしまった弟に説得するシーンにうまくリンクしていたようだ。音楽で夢を与えるというテーマよりも、全てを学んだ上でバカをすることに惹かれてしまいました・・・

 やりたい音楽ができずにいるミュージシャン。あり得る話だと感じたせいで全体的には素直に笑えないし、それほど面白くなかったのですが、松山ケンイチの演技力には脱帽です。メタルもポップも演じるときは漫画的。それでいて二面性を上手く分けているのだからすごい・・・

 エンドロールでジーン・シモンズの名前を発見して愕然・・・KISSは好きなバンドだけど、ジーン・シモンズだとはわからなかった。そういや「デトロイト・ロック・シティ」という曲もヒットしたし、「デトロイト・ロック・シティ」という映画だって作ってる。半音下げてチューニングする音楽スタイルや白塗りメイクや衣装もそのままヘヴィメタルの基礎を作ったと言ってもいいバンド。KISSに燃えていた中学時代に母校が全焼したことを思い出した・・・

【2008年8月映画館にて】

kossy