「凶悪犯罪版ビートルズの到来」ノーカントリー タブローさんの映画レビュー(感想・評価)
凶悪犯罪版ビートルズの到来
BGMが全くなく、静寂と非日常的なバイオレンス描写のコントラストが癖になる。
独自の行動理念で人を殺す理解不能な殺し屋にひたすら無力さを感じる老いた警察官が語り部となっているが、その殺し屋であるアントン・シガーは残忍だがとてもモダンな存在だ。
基本的にわけがわからない。
動機も理解不能。
旧時代の価値観では、彼が何を考えているのか全くわからないのだ。
そして、年寄りがそれを静かに嘆く。
それはマッシュルームカットっぽいシガーの髪型からも連想されるように、かつてザ・ビートルズが一世を封した1960年代に年寄りたちが彼らを「わけのわからないもの」として捉え、世の中を憂いていたことをなぜか彷彿とさせた。
そういう部分もあって、私の中では凶悪犯罪版ビートルズの到来みたいな映画なのである。
犯罪も時代によって変わっていくということか。
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