「話術と音響の恐怖」ノーカントリー The Dudeさんの映画レビュー(感想・評価)
話術と音響の恐怖
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なるほど、噂通りに、いや噂以上にアントン・シガーという殺し屋は怖い。武器が怖い。話術が怖い。殺しのスキルが怖い。行動力が怖い。信条が怖い。髪型も怖い。ここまで観終わった後に心に残る余韻を残す悪役は久しぶりだ。間違いなく映画史に残る。
ついでにワンコの追跡も怖い。猟犬って泳いででも追ってくるんだ。知らんかった。
中盤までは恐ろしく密度の濃いサスペンス&アクションの世界。コーエン兄弟が今まで培ってきた映像術がフルに力を発揮している。ロジャー・ディーキンズの撮影と兄弟自身の編集術も相まって美しく完璧な世界だ。追うバルデムは当然のことながら、追われるブローリンもタフで良い。
で、やはり後半の締めが問題。この閉め方故に他のサスペンスと一線を画する作品になっていることは間違いないが、果たしてそれで良いのか?悪いのか?「役にも立たないトミー・リー・ジョーンズなんか見たくないし、言葉があり得ないくらい芝居臭い。カタルシスを!」と叫ぶ自分がどこかにいるが、果たしてベル保安官がシガーを倒すラストだと今自分が浸っている余韻はあるのか??DVDでじっくり見て結論を出す必要があるな~と思っておるのです。
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