「獲っちゃいましたか…。」ノーカントリー mori2さんの映画レビュー(感想・評価)
獲っちゃいましたか…。
いやあ、獲っちゃいましたか“第80回アカデミー賞最優秀作品賞”。重い、暗い、救いが無い…。アメリカは確実に病んでますな~。
吾輩は、この映画の監督であるコーエン兄弟(ジョエル&イーサン)の作品、そんなに好きではありません。しかも『はあ?何じゃそりゃあ~?ええ?それって結局どういうことやねん??』と言うのが、この映画を観終った後の第一声でしたので、“オスカー最有力!”って声を聞いても、『はあ?何でコレが…』てのが、正直な感想でございました。とにかく映画全体が観ていて重い!救いが無いくらいに重い!観終った後に『良かった』とか『凄い』って言う風に思えない(むしろ圧倒的に“不快感”が残ってました)し、ストーリーもラスト結局のところは何でああなるのか?あのシーンにはどういう意味があるのか?ってのが残ったまま(少なくとも吾輩はそう感じました)終わってしまうので、非常に消化不良でございました。然るにこの映画がオスカーを獲ってしまうだなんて…、『アカデミー賞は、映画界の良心』だと思っている吾輩にとっては、死体や殺人シーンがゴロゴロ出てくるこの映画が、オスカーを獲ってしまうなんぞ、理解し難いことでございました。
ただ、この映画がオスカーを受賞したということは『アメリカは、相当病んでいる』ということの証明に他ならないと思います。映画の冒頭、トミー・リー・ジョーンズ演じる古き良き時代を知るベル保安官のモノローグで『今の時代の犯罪は理解できない…』と語られるのですが、この映画の時代背景は1980年代なのです。この時代でさえ“病んでいた”アメリカは、それから20年近くが経過した現在、間違いなくそれ以上、深刻に“病んで”しまっています。この映画を通して、コーエン兄弟はそう言ったことを訴えたかったのだろうと思いますし、それをアメリカという国が受け入れた。その結果が、今回のオスカー受賞に繋がったんじゃないでしょうか?
ところで、“助演男優賞”を受賞したハビエル・バルデムですが、いやあ恐かったですね~おかっぱ頭の殺し屋!想像してみて下さいバナナマンの日村が、酸素ボンベ持って無言で人を殺していく姿を…。ね?強烈なインパクトでしょ?今晩、夢に出てきそうだ…(^^;。
あ!間違っても初めてのデートに、この映画は選ばないで下さいね!