君の涙 ドナウに流れ ハンガリー1956

劇場公開日:

君の涙 ドナウに流れ ハンガリー1956

解説

1956年の“ハンガリー動乱”を背景に、自由を求めて闘う恋人たちの愛と運命を描いた感動作。ソ連による弾圧が続き、自由を求める声が高まりつつあるハンガリーの首都ブダペスト。オリンピック出場を間近に控えた水球選手カルチは、革命を信じて活動する女学生ビキと出会う。それまで政治には関心を持たずにいたカルチだったが、ソ連軍との衝突で多くの市民が犠牲になるのを目の当たりにし、ビキと共に闘いに身を投じていく。

2006年製作/120分/ハンガリー
原題または英題:Szabadsag, Szerelem
配給:シネカノン
劇場公開日:2007年11月17日

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映画レビュー

4.5正義の正体

2023年6月14日
スマートフォンから投稿

 恐ろしくドライな仕上がりです。動乱の戦時下の愛を描くと、雑誌に紹介されていました。たまには恋愛映画も観なくちゃ、と、選択したのがこの映画。この段階で、私の選択眼に問題があることが、証明されますね。恋愛映画のつもりで観た映画は、トンデモ殺戮映画でした。しかも、スーパードライなテイスト。
 大義さえあれば、ヒトはヒトを殺します。何の恨みもない人も、平気で殺害します。慣れてくると、犬を撃つほうが、躊躇いを感じるようになるとの証言があるくらいです。それがヒト。(詳細は「戦場でワルツを」をどうぞ。)
 しかし、ヒトの正義って何ですかね。自分の正義の為なら、他者の殺生与奪には無関心。正義ひとつあれば、ヒトは何も感じなくなる。何も考えなくなる。正義とは、ヒトを思考停止にさせる劇薬ですね。
 事件から半世紀以上、映画公開から10年以上経ちますが、未だに凍てつく大地には、正義を乱発する大統領が棲息していますしね。
 そんなヒトの性(さが)を、私はこの恋愛映画で学びました。同時に、ヒトは予期せぬタイミングで、予期せぬものを見せつけられると、トラウマ級に印象が残ることも学びました。私が、狂ったように映画館通いをするきっかけを作った、罪深き名作です。
 驚くほど「光州・5 18」と同じ展開です。ただ演出が驚くほど真逆。悲しすぎて、涙も出ません。同情するなら、銃をくれ!、レベルで心も渇きます。爽快感の欠片もない、ハイパードライな後味が、皆様をお待ちしております。

 海の向こうの反抗作戦ですが、奪還された地域があるようです。敵方に協力したヒト達(詳細は「ドンバス」をご覧下さい。)は、売国奴と呼ばれ、ヒト狩りのターゲットになることでしょう。

 この映画と同じように…。

 私達は、進化していますか?。

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機動戦士・チャングム

3.0水球シーンは100点なんだけど...

2013年3月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

十五年前のバルセロナ五輪の最終日。私は、水球の決勝試合・スペイン対イタリアに度肝を抜かれた。

 ボールの奪い合い時の水中の足蹴りの応酬、コートチェンジの時も選手どうしでの罵り合い…。水球を見たのがそれが初めてだった私は、テレビに映る格闘技まがいの乱戦に呆気にとられてしまった。が、両チームの選手たちが必死に戦っている姿に、国の威信やプライドをかけた「聖戦」のように見えた私は、その試合から感動以上のものを与えてもらった。今回見た映画のクライマックスとなった、1956年メルボルン五輪大会水球準決勝・ハンガリー対ソ連が、五輪史上に残る「聖戦」だったことを知ったのは、そのすぐ後のことだった。
 この作品は、ハンガリーとソ連が対戦する直前まで起こっていたハンガリー動乱の物語だ。自由を求めて立ち上がった若者たちや市民たちが、侵攻してきたソ連軍の戦車へと立ち向かっていく姿が画面に何度となく映し出され、その結果が歴史上の事実として分かっているだけに、ハンガリー国民が受けた悲しみに観客は胸を痛める。そして、物語が水球の試合へと移ると、当時のハンガリーの国民が受けた感激がどのようなものかを実感する。この作品を観ていると、ハンガリー動乱当時の人々になったような気分になってくるのだ。
 ただ、この作品の水球は、「聖戦」には私は感じなかった。それは、演出が水球選手と革命戦士の女性との恋に偏り、ソ連軍に立ち向かった者たちの心の琴線まで触れられなかったからだ。結局、ソ連と戦った水球選手たちの心意気を描くところまでも演出は至らず、その試合が国民の威信をかけた「聖戦」だったはずなのに、そこまで緊迫したものを感じられなかったのである。情緒的な物語にせずに、革命を志す者たちを描くことに演出が集中していれば、ハンガリー国民の「聖戦」が描かれたものになっていただろう。演出の舌足らずが目立った惜しい作品だと思う。

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こもねこ

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