「色褪せぬ世界観とビジュアルに痺れる!」ブレードランナー ファイナル・カット しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
色褪せぬ世界観とビジュアルに痺れる!
"ブレードランナー" シリーズ第1作(最終決定版)。
Blu-ray(日本語吹替音声追加収録版)で鑑賞(字幕)。
原作(アンドロイドは電気羊の夢を見るか)は未読。
高校2年生の頃、劇場公開版をテレビで観ました。
それが「ブレードランナー」の初体験。しかし、う~む…
名作の誉れ高いことは承知していましたし、私の中で期待値が暴上げされていたからかもしれませんが、ストーリーは難しいし、アクションは物足りないしで、正直そこまで絶賛するほどの映画なのかなと首を傾げたものです。
続編が公開されて話題になったと云うことで、久しぶりにファイナル・カットで鑑賞してみました。
結果、いやはや目を見張りました。高2の私を叱りつけてやりたい衝動に駆られました。「首傾げてる場合やあれへんで。よく観なはれ。めちゃくちゃおもろいやないかい!」。
他にもいろいろなバージョンが存在していますが、全てを観たわけではなく、どこがどう違うかなんてことは全然分かりませんが、劇場公開版と比べたら、このファイナル・カットは抜群にすごいと云うことだけは分かりました。
デジタル技術で修正が施されていて、特撮場面がパワーアップ。ロサンゼルスの夜景を俯瞰で捉える冒頭から、ぐいっとその独特な世界観に引き込まれました。神秘的且つ不気味な未来世界の強烈なビジュアルに度肝を抜かれました。
漢字や日本語が入り乱れ、多国籍感がハンパない街並み。どこに行ってもスラムみたいに荒れているところが、近未来像として斬新だったのではないかなと思いました。常に雨が降っているし、何よりどこもかしこも汚い。そして、何を隠そうこれがいちばんの驚きでした。「ラストが全然違う!」。
人造人間レプリカントの暴走と、それを追うブレードランナー、デッカード(ハリソン・フォード)の戦いを通して、「人間とは何か?」「魂とは何か?」と云う哲学的な問いが提示され、脳が揺さぶられました。自分で思考し、空想し、特定の思想を持ち、それに従って行動し始めたらそれはもはやロボットなのか。永遠のテーマだと思いました。
[余談]
舞台の2019年を迎えた今、先見性に満ちた作品だと云う認識を新たにしました。AIの目覚ましい進歩が世の中を豊かにしてくれそうな反面、これまでは考えもしなかった様々な問題が生まれ、議論が絶えません。それらをも予見していたかのような内容に心を奪われました。ただ、「毎日酸性雨が降ってなくて良かった」とは思いました(笑)。
[以降の鑑賞記録]
2019/09/18:TOHOシネマズなんば(IMAX,字幕)
※修正(2024/04/19)
本作を映画館で観られたことが何よりも嬉しかったです。IMAXだからなおのこと幸せでした(笑) レビューを拝読させていただきましたが、考察が素晴らしかったです。ラストでロイがデッカードを助けた理由に納得がいきました。ありがとうございました。