「【”ブルーマジック”ベトナムから純度100%のヘロイン供給ルートを独自に開拓し、既存のマフィアにダメージを与えた男と、腐敗する警察の中で一切賄賂を受け取らない刑事との熾烈な争いを描く逸品。】」アメリカン・ギャングスター NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”ブルーマジック”ベトナムから純度100%のヘロイン供給ルートを独自に開拓し、既存のマフィアにダメージを与えた男と、腐敗する警察の中で一切賄賂を受け取らない刑事との熾烈な争いを描く逸品。】
■1968年。ハーレムを仕切るギャングのボス、バンピーに15年間仕えてきた運転手のフランク・ルーカス(デンゼル・ワシントン)は、ボスの死を機に家族を集めて独立する。
そして、東南アジアの麻薬の密輸密売を手掛け、マフィアも一目置く麻薬王へとのし上がる。
一方、一切マフィアから賄賂を受け取らない警察官、リッチー・ロバーツ(ラッセル・クロウ)は、今までにないクレバーな男フランク・ルーカスへの追及を、その清廉さを認められ彼を追い詰める特別麻薬取締局にスカウトされ、始めて行くのである。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・デンゼル・ワシントン演じるフランク・ルーカスが、尊敬するボスバンピーの死をきっかけに、既存のマフィアと手を組む事無く、単身ベトナムに渡り、現地で麻薬製造を行う男と合意し、それまでの麻薬供給網や、混ぜ物をしていた麻薬に対し、純度100%のヘロインを”ブルーマジック”として、捌き始め成功を収めるシーン。
フランクは、それまで貧乏な生活をしていた一族郎党を立派な屋敷に呼び寄せるのである。当時。黒人が成り上がる方法だったのだろう。
・ラッセル・クロウ演じるリッチー・ロバーツが、職務に熱心過ぎて、妻子と別れる事になるシーンも、何だか皮肉である。
だが、それだけリッチーの麻薬撲滅と、腐敗する警察組織改編の思いが強かったのだろう。
・リッチーがフランクの麻薬輸入ルートを、ベトナム戦争時の兵士の輸送機だと見破るシーンなども、緊迫感が強く、その事実が明らかになった時のマスメディアの怒りの矛先はフランクだけではなく、腐敗した警察組織にも向けられて行くのである。
■今作は、全編緊迫感が溢れているが、特にリッチーが執念の捜査で、フランク・ルーカスが大量の麻薬を子袋に詰めるアパートの一室に踏み込むシーンと、リッチーがフランクに対して警察内部の汚職警官、刑事達を洗い出させるシーンは見応えがある。
次々に警官が摘発される中、フランクに寄生虫のようにたかっていた特別麻薬捜査官のトルーポが拳銃自殺するシーンも、何が悪で何が正義なのかという、リドリー・スコット監督の問いかけにようにも思える。
<今作は、ベトナムから純度100%のヘロイン供給ルートを開拓し既存のマフィアにダメージを与えた男と、腐敗する警察の中で一切賄賂を受け取らない刑事との熾烈な争いをリドリー・スコット監督が描き出した逸品なのである。>