「チョット構成やストーリーラインを絞り込めていないじゃあないかと思います。」アメリカン・ギャングスター 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)
チョット構成やストーリーラインを絞り込めていないじゃあないかと思います。
デンゼルワシントン、ラッセルクロウ、今回はピッタリのはまり役でした。巨匠スコット監督だけに、ブラック・レインに繋がるデンジャラスさと重厚感はありました。
ただスコット監督にしては、チョット構成やストーリーラインを絞り込めていないじゃあないかと思います。、
おそらくスコット監督が悩んだ要因として、この作品が実話に基づくからだと思います。
忠実に描けている反面、その分つまらなくなったです。実話のリアルティを追及すると、さすがにそう簡単に登場人物を殺して場面を盛り上げることは、スコット監督にもできないわけなんですね。
盛り上がりは最後の摘発シーンになるのですが、そこまでの経過は、はっきり言って「長い」「冗長」でした。上映時間も150分もあります。前半なんか凄く眠気に誘われてしまいました。
その点では、伝記物の映画にありがちなように時系列に沿って、エピソードを詰め込んだ作りに陥ったこと。そのため時間が収まりきれなくなって、無理無理編集した結果、中途半端な作品になってしまったということなんだろうと思います。
この作品の要素として、次の要素がありました。
【サクセス】まず一介の暗黒街のボスの運転手に過ぎなかったフランクがボスの死後、瞬く間に麻薬王に駆け上がっていくサクセスストーリーの光の部分とその麻薬のために命を落とす人たちの影の部分の対比。
【葛藤】捜査上差し押さえた大金も正直に報告してしまうほど潔癖症な刑事リッチーの孤独。そして仕事にのめり込余りに、別れた妻と子供の親権を争う葛藤。家族との絆を重視するフランクと、家庭が壊れているリッチーの関係は皮肉でしたね。
【バイオレンス】刑事リッチー率いる特別麻薬捜査班とフランクの麻薬密輸組織の攻防。
【ドキュメント】時代背景として、ベトナム戦争期間中全米が汚職と麻薬にまみれていたか。
【正義】リッチーとフランクのコンビと汚職にかかわる麻薬捜査官・警察・軍部との戦い。
以上5つの要素があったもののスコット監督はその中のどこに的を絞ったのかがよくわかりませんでした。この作品が、今年のベストワン作品なんてメディアの評価はあてになりませんね。評判ほどではないですよ。
ただ孤独な捜査官として、ラッセルクロウは魅せてくれましたよ。
あと冒頭人がゴミように殺されますので、さすがにR15指定作品でした。
ラストで二人の間に友情が芽生えるところまで描けていれば、もっと感動できる作品になっていたのに、時間切れアウトでした(^^ゞ
●この作品を見た方へ
エンドロール後に、何か締めのシーンがあったのならぜひ教えてください。