劇場公開日 2006年4月29日

「ヒャッハーへの苦手意識」RENT/レント つとみさんの映画レビュー(感想・評価)

1.5ヒャッハーへの苦手意識

2025年5月5日
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鑑賞方法:VOD

ミュージカルとしての「RENT」を知らないのでなんとも言いづらいのだが、映画としての出来は傑出したところもなく、ごく普通のミュージカル映画の枠を出ていない。
そうなるとストーリーにどれだけ感情移入できるかが鍵となりそうなものだが、いかんせん登場人物の誰にも惹かれないのだ。
強いて言うなら早々にボヘミアン暮らしを脱したベニーくらいか。
いつまでも子供じみた万能感を持たず、現実の社会に適応し、職を得てRENTを滞納する側からRENTを取り立てる側へまわったベニー。彼の立場になれば、「あの頃は貧しかったけど楽しかったな」という気持ちになるのもわからんではない。

曲が良かった、という感想も結構見かけるが、「Seasons of love」がかろうじて思い出せるくらいで、他は特に思い出せない。「Seasons of love」だって、不意に耳にして「RENT」の世界に引きずり込めるようなパワーがあるかと言われたら答えは「No」だ。
背景にHIV感染や薬物中毒などの社会問題も苦難の一つとして描かれているが、そもそも「困難の中でも毎日を懸命に生きよう」の象徴としてボヘミアン暮らしが描かれるのが違和感バリバリなのである。
そんなに懸命に生きてるかなぁ?

そこまで考えてふと気づいた。「RENT」はミュージカル映画であるが、基本は青春モノ。そして私はアメリカの青春モノが苦手なのだ。
日本の青春モノが「何かを頑張る系」であるのに対して、アメリカの青春モノは「とにかくヒャッハーする系」である。「フェリスはある朝突然に」や「アメリカン・グラフィティ」なんかもそうだが、あの「ヒャッハー」したテンションについていけないのだ。全く共感出来ないのでどんなに名作だと言われていても感動したことがない。
多分「RENT」も同じ。

音楽の力を持ってしても、それは打開できなかったということのようである。

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つとみ
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