13回の新月のある年にのレビュー・感想・評価
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死
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ここまでストレートに死を意識させる作品を観たのは初めてかもしれない。ファスビンダーを通して見る世界はこんなにも暴力と雑音に満ち溢れ、苦しく映っているのか?冒頭のエルビラへの集団リンチ、屠殺、性転換という男性器の切断、ある男の首吊り。ファスビンダーが社会から受けた痛みを想像させるには充分すぎる描写だろう。
屠殺された後に映し出される牛が安らかに、ある意味神々しくも見えるのに対して、生きているエルビラは苦しくて惨めに見える。改めて考えると生きる事は楽しいことではないのかもしれない。牛を殺して食べて排泄して、気に入らない人間を排除する。人間の行動全てが依存的で惨めったらしい。
ファスビンダーは多分死にたがっている。死を止めないでくれと言っている。そんな気がした。
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