「後光がさしているかのようなドヌーヴ姫」ロバと王女 シネマディクトさんの映画レビュー(感想・評価)
後光がさしているかのようなドヌーヴ姫
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 カトリーヌ・ドヌーヴとジャック・ドゥミが組んだ三作目の作品で、前二作と違ってミュージカル風味の童話みたいなお話しです。中世のフランスが舞台で、最愛の王妃を亡くして悲嘆に暮れていた王様が、実の娘を再婚相手にしようとし、お姫様は妖精のアドバイスでロバの皮をかぶった下女として他国に身を潜めると言うお話しです。そもそも童話とは言え、自分の娘と結婚しようと言う王様のキャラがキモいです。しかも、天下の二枚目ジャン・マレーがやっているのでキモさも倍増です。おまけに娘のドヌーヴも父親からの求愛にほだされそうになってくるし、手助けするはずの妖精もどこか怪しげで、登場人物にまるで共感が持てませんでした。衣装やメイクに青や赤の原色を使っているのはジャック・ドゥミらしいけど、登場人物の造形や異空間のような童話の世界を描くタッチは、どこかジャン・コクトーの『美女と野獣』を意識しているようだけど、とてもその足元に及ばす。後半からミッシェル・ルグランらしい曲が展開されるけど、お話の内容とイマイチ合ってないようで残念。とは言え、この映画の最骨頂はドヌーヴの目を見張るような美しさで、王子の前でロバの皮を脱ぎ捨て黄金のドレスで現れるシーンは光り輝くようなオーラすら感じました。役者では、ドヌーヴの美しさが堪能できます。デルフィーヌ・セイリグは知的な女性役のイメージが多いけど今回は軽めの役とは言え、やっぱり美しいです。王子役のジャック・ペランは、『ニュー・シネマ・パラダイス』の哀愁たっぷりの監督役が印象深いけど、当たり前だけど昔はこんなに若々しかったんですね。
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