フェーンチャン ぼくの恋人のレビュー・感想・評価
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観ていると、つい自分の初恋を思い出してしまうようなノスタルジックなタイ映画。
結婚式の招待状を受け取ったバンコクで働く青年ジアップは、生まれ故郷での甘酸っぱい想い出に浸りながら故郷へ帰る。まるで育毛剤の名前のような彼だが、実家は床屋さん(偶然か?)。駄菓子屋さんを一軒挟んだお隣りも床屋さん。店主の父親たちは互いに張り合ってはいるが、母親2人は仲がよく、子供時代の少年ジアップと少女ノイナーはまるで母親たちが生まれたときから彼らを許婚と決めてしまったかのように仲がよかった。このノイナーは、初恋の女の子の定番であるおさげ髪の女の子なのですよ・・・この時点でノックアウト。
小学校4年のジアップは近所に男友達がいなくて、女の子同士のゴム跳びやママゴトなどが大好きだった。そして、子供たちは皆ドラえもんが大好きで、ジアップもドラえもんのTシャツを着ていた。このあたりから、ドラえもんへのオマージュも感じられるようになります。少年たちのボス的存在のジャック(まるでジャイアン)は留年を重ね、ジアップと同じクラスになってから、彼を男同士の遊びに誘うようになる。個人的に、小学校の頃を思い起こしてみると、女の子たちと遊んでたことが多かったので、感情移入しまくりでした。第一次反抗期という時期は日本もタイも同じ。徐々に女の子の遊びを敬遠して、男の子の遊びへと傾倒していった頃を思い出してしまいました。余談ではありますが、母親や伯母と一緒に行った銭湯の女風呂へ行きたくなくなったのもこの頃だ(恥)。
タイの子供たちの遊びも日本と変わりないですね。映画の中心となるのは輪ゴム飛ばし。メンコやビー玉と同じ感覚で、勝つと相手の輪ゴムをもらう(もらってもしょうがないのですが、子供の遊びですから・・・)。そして、やはりサッカーは人気があるようで、原っぱでサッカー遊びを楽しみます。ここでは映画『少林サッカー』のパロディもあるのでお見逃しなく!
タイでは記録的な大ヒットとなった作品。なんと監督が6人、脚本家が7人、映画会社が3社という特別の思い入れがあるかのような作り方。誰しもが経験する初恋への憧憬が、映画を通してスタッフの想いが一体となったかのように繰り広げられる。しかし、彼ら小学生の初恋はそれが「恋」だということも認識できず、大人になってから「あれが初恋だった」と気づいてしまうほど淡いもの。切ない思いがエンドロール後のセピア調の映像によって胸に響いてきます。おすすめ。
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