タッチ・オブ・スパイスのレビュー・感想・評価
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国の諍いに翻弄された人の郷愁
総合:75点
ストーリー: 75
キャスト: 75
演出: 75
ビジュアル: 75
音楽: 70
最初は主人公の料理と祖父の話が中心になっていくのか、普通の話かなと思いきや、それらの話はほんの一部に止まりそれだけではないことがわかった。トルコとギリシャ間の複雑な政治情勢を踏まえて、それに翻弄された男の郷愁の想いを伝えてくる。振り返らない女と、満面な笑顔で振り返る少女。前半の移民としてちょっと苦労した少年時代を前振りにして、後半になってからトルコへ残されていた複雑な想いとどうにもならなかった寂しさが残る映画だった。
シネマオンラインによると、映画史上第2位の興行収入となるなど、本国ギリシャでは非常に人気が出た作品らしい。現実に似たような話を身近にしていれば、この作品に特別な感情と共感を抱くことは当然。外国には日本以上に民族の辛い歴史が人々の生活に影響していることがわかる。
スパイス香るおいしい映画
映し出される数々の美味しそうな料理と
イスタンブールの古い歴史あるオリエンタルな街並み
全編に渡りスパイシーに香り立つ空気の中で
じっくりと描かれる人間ドラマ。良い作品でした。
冒頭部分ではイマイチ乗り切れなかったこの作品。
主人公のトルコでの子供時代
画面から香り立つほどのスパイスで埋め尽くされた
屋根裏の薄暗い空間で繰り広げられるおじいちゃんとの交流。
この辺りから徐々に物語に引き込まれていきます。
勉強も人生哲学もスパイスを使って分かりやすく教えてくれるおじいちゃん。
天文から政治情勢に至るまで広く博識で
決して説教臭くない物腰の柔らかい語り口には
街の人々からも一目置かれる存在。
お店に出入りする様々な人間模様の中には
微笑ましい初恋の少女との淡い思い出も。
彩りを添えるのはダンスと赤い傘。そしてスパイス香る絵葉書…。
そんなあったかい雰囲気も中盤からは一転
舞台となるトルコvsギリシャの政治情勢の変化に翻弄される主人公一家。
様々な複線が哀愁漂う終盤へとつながっていきます。
時折差し込まれるコミカルなシーンや
格言めいた人生哲学の言葉の数々にニヤリとさせられつつ
シリアスな時代背景と内面に迫る人間模様を丁寧に描く良作。
ギリシャ版の「ニューシネマパラダイス」とはよく言ったもので
作品テイストや人物設定にはよく似た部分があり
その名に恥じない良い作品になっていました。
まだまだ知名度こそ低いものの
もっともっと評価されていい作品だと思います。
おすすめ作品です。
※他サイトより転載(投稿日:2008/10/23)
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