「Now it's time to say good night. Good night, sleep tight. 現場の安全確認、ヨシ!」マシニスト たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
Now it's time to say good night. Good night, sleep tight. 現場の安全確認、ヨシ!
1年にも及ぶ重度の不眠症に悩まされる機械工の男が、不可解な出来事に巻き込まれていく様を描くサイコ・スリラー。
主人公である不眠症の機械工、トレバー・レズニックを演じるのは『ポカホンタス』『アメリカン・サイコ』の、後のオスカー俳優クリスチャン・ベール。
はい、みなさんこんばんは。今夜はお待ちかね『マシニスト』ですね。これはとても怖い怖い映画ですね。こんな怖い映画、私観たことないですねぇ。
『マシニスト』言うのは「機械工」、「機械工」という意味ですねぇ。「不眠症」じゃないですよ。不眠症は「インソムニア」。「インソムニア」言って、これはあの名匠クリストファー・ノーランの映画のタイトルにもなってますねぇ。でもこの映画、「マシニスト」いうタイトル通り、主人公の男は工場で溶接とか旋盤、そういったことをして働いてるのね。
でもこの男、眠れない眠れない。酷い不眠症。なんとこの男、トレバー、1年間も眠ってないんですね。だから馴染みの娼婦のところ行って、「おい俺は眠れないんだ」言いますね。で、この男、眠れないからガリガリなのね。骨と皮骨と皮だけの体。背骨がくっきり浮かび上がって、まるで骸骨なのね。それを見た娼婦が「あんたこのまま痩せ続けたらもう直ぐ死ぬよ」なんて言うのね。
でも男は眠れない。辛い辛い。眠れないから空港の喫茶店でウェイターに話しかけるのね。「俺はエルヴィス・プリスリーだ」なんて冗談言うんだけど、時計を見ると1時30分3秒、2秒、1秒言う感じで巻き戻るのね。うわっ、なんか奇妙なこと、怖い怖いことが、起きてるんですねぇ。
で、工場でもボッーとしてますねぇ。寝てないから。それで同僚に「おい、お前ヤク中じゃないか」なんて言われて、それでムッとしてね。仲が悪くなっちゃうのね。そんな時に、駐車場でタバコ吸ってると、見慣れない男、黒人の大男、出会いますねぇ。アイバンいうこの男は、ある男が逮捕されたからその代わりとして手伝ってる。そう言いますねぇ。トレバーは足を引きずってるこの男のことが気になる気になる。で、この男に気を取られてる隙に、同僚が点検中、機械にスイッチを入れちゃうのね。それでグググッと機械が動いて同僚の腕が巻き込まれちゃうのね。止めろ止めろっ!と叫びますね。でも止まらない止まらない、機械が回る回る…。このサスペンスいうのか、スリラー。いやぁ怖い怖い。恐ろしいですねぇ…。
で、このトレバーは「お前なんで機械にスイッチ入れたんだ」なんて上役に問い詰められちゃうのね。で、「アイバンに気を取られてしまって」言うんだけど「アイバンなんてウチには居ない」、そう言われるんですねぇ…。
トレバーは寝ていないから、どんどんどんどん現実と妄想、夢、幻覚が混ざりあっていくんですねぇ。それで映画が進むたびに、うわ危い危い、いう展開に観客を引きづりこみますねぇ。
何が真実で何が嘘か、わからないから怖い怖い。怖い怖い危い危い展開が続いて、さーてトレバーはなぜ眠れないのか、これが最後に、わかるんですねぇ。
いやぁ見事でしたね。驚きましたね。うわぁそういう事か!なんていう驚き。面白いねぇ。
このトレバーいう男を演じたのはクリスチャン・ベール、クリスチャン・ベールいう俳優ですねぇ。この俳優はバットマン、あのバットマンを演じたことで有名になりました。2010年には『ザ・ファイター』いう拳闘映画でアカデミー賞も獲りました。すごいすごい俳優ですねぇ。
このクリスチャン・ベール、役作りが凄いのね。ロバート・デ・ニーロいう俳優がおりますでしょう。彼は『レイジング・ブル』(1980)いう拳闘の映画、あれですごい痩せたのね。それで今後は同じ映画の中でまた凄い太ったんです。これは凄いいうんで、映画で体型をごっそり変えるほどの役作りのことを「デ・ニーロ・アプローチ」いう様になりましたね。日本では鈴木亮平、鈴木亮平いう俳優が凄いですねぇ。筋肉モリモリ、プリプリの身体からげっそりした身体まで、自由自在ですねぇ。
この映画のクリスチャン・ベールも凄い凄いダイエットしてます。この役をやるために30キロ近く体重を落としたのね。「おい、もうこれ以上痩せたら死ぬぞ」という娼婦のセリフ、嘘じゃないのね。本当にもう死ぬくらい痩せたの。このベールいう俳優の凄まじい執念いうか狂気…これが映画の怖い怖い暗さ、苦しさ、嫌さを表現してるですね。いや私驚きましたねぇ。
トレバーは何度も何度もウトウトするのね。でもその度にアイバンや仲良くなったウェイトレスが起こすのね。これは何か言うと、良心の呵責ですねぇ。自分が起こした犯罪、忘れようとしてる罪いうのに対して良心が「おい、お前は楽にはさせないぞ」いうて起こすんですね、追い詰めるんですね。
だから最後、罪を認めて警察に自首して「ちょっと眠らせてくれ」言うて眠る。あそこにあぁ良かったねぇ、なんてホッとするんですねぇ。
そんな、怖い怖い不眠症の映画。『マシニスト』。身の毛もよだつほどの恐怖。まぁ見事見事!悪いことしてそれを黙ってても、結局は自分で自分の首を絞めるいう教訓が詰まった怖い怖い映画でしたねぇ。
それではまた次の映画でお会いしましょう。さよならさよならさよなら。
…なんとなく淀長節で語りたくなる映画なのでありました。