イブラヒムおじさんとコーランの花たちのレビュー・感想・評価
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愛は人種・宗教を超えたか?
愛は人種・宗教を超えたか?!面白いエピソードと小ネタの集合体のような映画で、軽快なテンポ、笑える台詞で引っ張ってくれる心温まる話なのに、何か物足りない・・・
ブタの貯金箱を割ってまでして、娼婦に相手をしてもらいたかったモモ。イメージ映像でまた貯金箱からコインを・・・映像美で攻めてくるかと思いきや、いきなり笑わせてくれる。しかも、『オーシャン・オブ・ファイアー』では存在自体で笑ってしまった、前歯の欠けたオマー・シャリフが主人公なのである。もはやアラブの英雄だった頃の面影がない・・・
中盤からはかなりシリアスになり、父の自殺、母親の登場、優秀だった兄ポポルの謎等、モモの何かがはじけ飛ぶかのように、複雑な心理を親しき人のもとへと走らせる・・・行き場を失ったモモ少年の「養子にしてほしい」の言葉に快諾するイブラヒムがしぶかった。
ここからは『アラビアのロレンス』も真っ青になるくらい勇ましいイブラヒム。運転免許もないのにキャッシュで車を買い、『ジンギス・カン』のように颯爽と車を走らせロード・ムービーへと変化していくのです。パリの下町が舞台になってるこじんまりとした世界観の映画だと思っていたら大間違い。色んな宗教の様式も楽しめる“宗教伝承ロード・ムービー”という雰囲気になりました。落ちも中々良かった。
父親との葛藤、兄の謎、娼婦の今後などをもう少し描いてほしかった・・・
スーフィーの父とユダヤの息子
京都シネマ名画リレーにて鑑賞。
名画リレーにラインナップされなければ、見ることはなかったであろう今作。
だって知らなかったものー。
映画ファンであれば、オマーシャリフが出ているって所に
食いつくのでしょうが、名前しか知らないものー。
それもドラマ・アリーマイラブにて、アリーが相手もいないのに避妊ゼリーを欲した理由として、
「夢の中でオマーシャリフにさそわれた」っていうせりふで知ってるだけだものー。
2003年に製作されたという事は、9.11の後の世界を知った上での
話なんですね。イスラム教への無知からくる恐怖に世界が震え始めた頃のお話です。
主人公モモの本名モイーズはユダヤ教でいうところのモーゼの事らしいです。
救世主と名づけられた寂しい男の子が、異教徒の父を得た話です。
モモの家族はパパだけで、モモ曰く「ユダヤ人だから」いつも憂鬱をわずらうパパです。
ママはもっと前に出て行ったらしい。モモの兄を連れて。
パパは何かにつけてできのよかった兄を持ち出し、モモは兄は母に愛されているはずと
手に入るべきだったものへの恨みをつのらせています。
実際には兄はパパの想像の産物で、実在しない人なのですが、
その事を知るのはパパが自殺してからの事。
モモは本当に一人ぼっちになります。
モモとパパが暮らす家に近い食料品店は、パパ曰くアラブ人の店で、
その店でモモは毎日の食料を調達しつつ万引きもしています。
で、その店の店主がイブラヒム(オマーシャリフ)でして、
アラブ人と思われているけれど、トルコ人で、
スーフィー(イスラム神秘主義)なんです。
今で言うところのネグレクトにあっているモモと、
行き着けのお店の店主としてそっと寄り添うイブラヒムとが、人種や宗教をこえたところで結びついてゆき、寄り添うのです。
トルコの描写がよかったです。
カトリックも正教会もイスラム寺院もあって、スーフィーの踊りもある。違うものから見える同じ願いみたいなものにグッときました。違う考えや、違う習慣を持つ他人の中に自分を見出せれば、もっと私たちは寛容になれるのではないかと思いました。
ラストでなんでイブラヒムを死なすねんとは思いましたが。
いい映画だなと思いました。
赤いオープンカーを売る店員の男性にものすっごい見覚えがあるのですが、不機嫌なママにメルシィの主人公ギョームの人ちゃいますか?そんな気がするよ?真偽を確かめようがないのが悔しいけども。
汝、隣人を愛せよ
ユダヤ人の少年がアラブ人のイブラヒムおじさんから、生きることを教わる物語。
少年の父親は生活から逃げるように死を選びますが、イブラヒムおじさんは残された少年の父親になろうとします。
宗教や人種に拘ることに意味はあるのかと思う映画でした。
汝、隣人を愛すればまた愛を得られることが分かる映画です。
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