ウォルター少年と、夏の休日のレビュー・感想・評価
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ミュンヒハウゼン症候群が語るアメリカの歴史ファンタジー
ミュンヒハウゼン症候群の一種。
ほらふき男爵の冒険譚
次から次へとやって来るセールスはアメリカの物欲の歴史を語っていると見た。
また、見方を変えれば、逮捕された大統領候補の「壁を作る行為」の逆のように感じる。
スカスカの地雷映画。
大人は平気で嘘をつく?
感受性の豊かな時期にどんな大人に出会うかはその後の生き方に大きな影響を与えるでしょう。
少年と爺さんたちが冒険の旅に出る話かと思ったら、爺さんたちが語る昔の冒険談、少年は只管聞き役でした。
財産目当ての浅ましい母親や親戚が出てくる苦い現実と爺さんたちのフィクションのような華麗な生き方の対比を描きながら、ハブ爺さん(ロバート・デュバル)がウォルター少年(ハーレイ・ジョエル・オスメント)に大人への心得を語ります。このセリフが監督が映画で語りたかったエッセンスでしょう。
母親の嘘に辟易なウォルターは大人に疑心暗鬼、「アフリカの話は本当なの?」と訊くウォルターにハブは「本当かどうかは関係ない、何かを信じたいと思ったら信じることだ。時として曖昧で嘘くさくても信じるべきことはある、例えば人間の良心、誇り高くて勇敢であることの素晴らしさ、金や権力など何の意味もないこと、善は悪に勝つと言う道理、真実の愛は決して滅びない、大事なのはそれが本当かどうかではなくそうだと信じて生きてゆくこと、それこそが人間の素晴らしさだ・・」
年寄がまともに人生哲学を語っても退屈な話と流されかねないので本作のような奇妙なシチュエーションを考えたのでしょう。
映画はシニカルなコメディタッチ、子供たちに受けるには動物も必要、ワンコから豚さん、ライオンまで出てきます。原題のSecondhand Lionsはセコハンのライオン、年老いて動物園をお払い箱になったライオンと爺さんたちをだぶらせているのでしょう。年寄といっていますがどう見ても子供のライオンにしか見えませんでしたが成獣は危険なので致し方ありませんね。ライオンは命を救ってくれたウォルターになつき、ウォルターが探偵に襲われた時身を挺してかばって死んでしまいます。最後は百獣の王として立派な死だったと皆が讃えました。これも誇り高く死ぬという爺さんたちの無鉄砲な最期と被ります。
アフリカ時代の宿敵の孫が葬儀に来るシーンは試写後に加えられたそうです。これで爺さんたちの昔話が本当だったと裏付けられました。ほんとうかどうかは関係ないと言っていたのにやっぱり監督は嘘に思われたくなかたのでしょう。
【14歳の少年が一夏、本物の”男達”と交流し、大いなる成長を遂げる様を描いたファンタジックな作品。この作品には漢としての生き方が詰まっています。】
ー 原題:セカンドハンド・ライオンズ(中古のライオンたち)ー
・14歳の少年ウォルター(ハーレイ・ジョエル・オスメント 「シックス・センス」の幼き名優)が夏休みの間、自由すぎる母親の思惑でテキサスの片田舎の農場に住む一癖も二癖もある二人のおじいさん(気性が激しいが哀しい過去を持つハブ(ロバート・デュヴァル)と心根の優しい弟ガース(マイケル・ケイン)に預けられる。
・二人のおじいさんには様々な噂があり、若き頃アフリカで波乱万丈の人生を送り、多額の金を農場内に隠し持っているらしいと言われている。
・半信半疑のウォルター少年が、愛想のない二人のおじいさんと徐々に距離を縮める過程と、二人のおじいさんの常軌をやや脱した行動(金目当てで訪れるセールスマン達にライフルをぶっ放すのは序の口)に凄い勢いで魅入られる。
・母親の指令で二人の隠し金の在りかを嫌々ながら探すウォルター少年が、徐々に二人のおじいさんの噂が本当であるらしいという事、そして二人が漢気溢れる本物の男達であるという事に気付き、おじいさん達も”この子は本物だぞ!”と距離を近づけていく過程や劇中劇での若き二人のアフリカでの活躍シーン(ハブと恋に落ちた美しい姫!とアラビアン・ナイトのような世界観)が可笑しみを含ませながら、素晴らしく躍動的に描かれる。
・ウォルター少年の母親に対する決着の付け方、二人のおじいさんの末期の迎え方、大人になったウォルター少年のもとを訪れるある男の姿等々、書き出すときりがないが、 <本物の漢の生き方とは何か> を考えさせられる思い出深い作品。
<私事で恐縮であるが、2004年7月 会社に行くのがどうしても嫌で、通勤途中の劇場(今でもお世話になっている。)でこの作品を観て自分の甘さに気付き、会社に3時間遅れで出社したなあ。(すいません・・・)。
今でも、夏になるとDVDで時折見返す作品である。>
<2004年7月10日 ズルして劇場にて鑑賞>
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