「説明不足感」ロスト・イン・ラ・マンチャ 青空ぷらすさんの映画レビュー(感想・評価)
説明不足感
鬼才テリー・ギリアムが1998年から準備を進め2000年にクランクインした「ドン・キホーテを殺した男」(テリー・ギリアムのドン・キホーテ)が、次から次へと降りかかる不幸の末、ついには撮影を断念するまでを追ったドキュメンタリー作品。
ハリウッドでは企画が通らず、ヨーロッパ資本で3120万ドルの資金を集め、スペインで撮影がスタートするも、ロケ地がNATO軍事演習地のすぐ近くだったため上空をF-16が飛び回り、その翌日には大雨による洪水でセットや機材が流され、さらには主演のジャン・ロシュフォールが椎間板ヘルニアで撮影不可能になるなど、まるで呪われてるような不幸の連鎖や、スタッフ間の軋轢などがフィルムに映し出される。
ただ、元々完成作品の映像特典メイキング用に撮られたフィルムを使用して作られているため、数々のアクシデントによって、「ドン・キホーテを殺した男」が撮影中止に追い込まれたという事情を知らない人が観てもいまいちピンとこないかも。
状況をまったく知らない人でも楽しめる説明や演出があれば、後に公開される「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」と合わせて楽しめる傑作になったかもしれない。
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