ノー・グッド・シングスのレビュー・感想・評価
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チェロとピアノ
銀行詐欺の犯罪映画、ボスの情婦役のミラ・ジョヴォヴィッチの魔性ぶりが見どころですかね。
バイオハザードでお馴染みのアクションはおあずけで、只管、か弱い女を演じ、実は男どもを手玉に取ると言う役どころ、ヌードになるのは珍しくないがボーイッシュな彼女なのでさほどセクシーではないもののファンには垂涎ものでしょう。
刑事役のサミュエル・L・ジャクソンにはあまり似つかわしくないように思えるがチェロ演奏が趣味、ミラの方も出自は旧ソ連出身の貧しい少女、ピアニストを夢見たが悪党の情婦に成り下がってしまったと言う設定、ウクライナ出身のミラにははまり役かも、劇中での二人の心通わす演奏シーンは、情緒たっぷり、見どころ、聴きどころでした。
「いいことない」のタイトルだが原作はハードボイルドの元祖といわれるダシール・ハメットの「ターク通りの家」、犯罪集団といえば荒々しい男どもが相場だが本作は、この家の妙な住人達、高飛び用の飛行機操縦が役割の元軍人の老夫婦、電気工でキレ安い若者、知能犯のボスと情婦という5人組、強盗犯ではなく詐欺師だからかユニークな設定。
サスペンス調の刑事ものと言う訳でもなく、ひょんなことから一味の囚われの身になってしまった刑事のサミュエル・L・ジャクソンがいつ殺されるのか、はたまた逃げられるのか、気を揉ませるのがメインの展開でした。
相反する者の心の交差を描いたところが秀逸
主人公が偶然訪れることになった家が強盗団一味の隠れ家だったところから話は始まる。
主人公が椅子に拘束されて物理的に動けない状態となることと、エリンが逃げたらひどい目にあわされることを経験上知っていることから心理的に拘束状態にある二人がひと時を過ごすことになるところにドラマが生まれる。
彼女は本来ならある程度の腕前のクラシックピアノを弾く裕福な人生を送ってきたことをうかがわせるピアノを披露する場面が出てくる。それに合わせてチェロを弾く主人公。二人の気持ちがお互いに交差するところが本編のクライマックス。女性から見るとエリンはルックスから男が自然と寄ってくるタイプでそれを利用しながら生きてきたが、それゆえに自分が本当にしたいことができない、男に自分が嫌なことも強制させらて来た人生だったんだろう。最後、エリンは主人公に見逃してほしいと頼むが主人公は葛藤の末、彼女の逮捕を地元の警察に依頼する。なんとも悲しい結末。このほろ苦さがいい。
レビューを見るとサミュエルとミラに別の映画のキャラを重ねている人が多数見受けられるが、この映画はそれらの映画の関連作品ではないのだから違うキャラで当たり前。この映画の評価が低いことが残念。
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