あるじ

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あるじ

解説

「裁かるゝジャンヌ」「奇跡」などの名作で知られ、ジャン=リュック・ゴダール、フランソワ・トリュフォーら多くの巨匠に影響を与えたデンマークの映画作家カール・テオドア・ドライヤーが1925年に手がけたサイレント映画。コペンハーゲンに暮らす市井の人々の日常をユーモアとリアリズムを交えて描き、フランスをはじめ世界的にヒットを記録した。

フランセン家の主人ビクトルは家の中で暴君のように振る舞い、家事や育児に追われる妻イダに対して不平不満ばかりぶつけていた。そんな彼の態度を見かねた手伝いのマッス婆さんは、イダを実家へ帰らせることに。妻がいなくなったことで、ビクトルの生活は一変し……。

「カール・テオドア・ドライヤー セレクション vol.2」(2023年12月23日~、シアター・イメージフォーラムほか)上映作品。

1925年製作/107分/デンマーク
原題または英題:Du skal aere din hustru
配給:ザジフィルムズ
劇場公開日:2023年12月23日

その他の公開日:1926年12月3日(日本初公開)

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

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映画レビュー

4.5サイレント映画の到達点を体感できる一作

2024年5月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

約100年前に活躍し、後進の映画作家に大きな影響を与えたカール・テオドラ・ドライヤーの作品です。

これまであまりサイレント映画というものを観たことがなかったので、100分以上の上映時間を果たして楽しむことができるのか、当初不安もありました。いざ実際に観てみると、むしろサイレント映画だからこその作劇を、我ながら驚くほど楽しむことができました。

伴奏はついているけど台詞も環境音もない(時折字幕の台詞を表示する程度)ことがむしろ、観客に俳優の身振りや表情に集中することを促していているようです。

そのため、横暴な男、ビクトルの険しい眉根、悪態をつくためにゆがんだ唇を見るたび、「何こいつ、むかつく!」って本当に腹が立ってくるし、彼に手痛いしっぺ返しを食らわせるマッスお婆さんがほくそ笑む姿の、そのラスボス感に戦慄したりと、現代の観客でも結構本気で感情移入してしまうほどでした。

そしてデジタルリマスターを経た映像は非常に美しく、ビネットを効かせた画面に浮かび上がる人物の姿は、まるで絵画のようです。特にドライヤーの撮影法なのか当時の標準的な照明術なのか、人物の後方から当たるハイライトの光の美しさは特筆すべき点です。

本作は、厳しい幼年時代を送ったというドライヤーの体験を踏まえているそうで、『イントレランス』(1916)のように壮大な物語ではないし、むしろ道徳訓話的な側面が強いんだけど、映画作家としてのドライヤーに触れるという意味では格好の作品ではないかと思います。

映画史としてはこの後トーキー(有声映画)の時代に入り、本作の2年後にドライヤーが監督した『裁かるゝジャンヌ』(1928)も当初はトーキーでの製作を企図したということです。

こうした流れを踏まえると、本作『あるじ』は、サイレント映画という表現手法の到達点を体感できる作品であるといえそうです。

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yui

3.0甘め評価

2024年4月3日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

1925年の古い映画(約100年前!)なので仕方ないかも、退屈…(苦笑)

無音だと、もたないからか、ピアノの曲が延々と流れてますが、退屈…

早よ終われ!早よ終われ!思いながら観てました。

伝えようとしてるメッセージは素晴らしいと思うので、

カラーにして音声も入れて、舞台を50年代のアメリカとかでリメイクしたら、いい映画が出来ると思う。

最後が良かったので、評価は甘めです。

55~60点ぐらい。

やっぱり、この監督は眠くなる(笑)

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RAIN DOG

2.5辛い・・

2024年3月25日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

単純

伴奏の一方通行、むしろ一部分は無音の方が入って来やすい。こういうコミュニケートは久々で、もう苦痛になってしまう。字幕もちょっと・・という部分がある気がする、もっとニュアンスだけでいいと思う。
お話はユーチューブに腐る程上がる暴君夫の話で、昔も今も、デンマークも同じなんだなぁと笑える。マッスと夫のどつき漫才のような掛け合いが面白いが、序盤は丸々朝からの家事で驚かされる。

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トミー

3.5家政婦婆さんの愛

2024年2月13日
iPhoneアプリから投稿

笑える

この明快な構造を持つホームドラマは、特に妻の不在後に家庭内の力学がどのように変化していくかを、夫の元乳母であり家政婦を務める老婦人の手腕を通して執拗に描写します。この家政婦婆さんは、ただ家事をこなす存在ではなく、夫を家内でこき使うことにより、家族内の力の新たなバランスを形作る重要な役割を担います。彼女の介入は、夫の行動や自立性に対する微妙なコントロールを示し、家族の新たなバランスを作り出すきっかけとなります。

映画は、彼女がどのようにして夫の「牙を抜く」のか、その緻密な手法を巧みに描き出します。家政婦婦人の行動一つ一つは、夫との個人的な関係だけでなく、家族全体の関係性に深く影響を及ぼします。この過程は、観客に笑いを禁じえない場面を提供しつつも、家族内での権力と愛情の微妙なバランスを探る深い洞察を与えます。

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ジャパニーズ先住民

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