ディナーラッシュのレビュー・感想・評価
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【”復讐と美味い料理は後を引く。”今作はニューヨークのイタリアンレストランの狂騒の一夜を、テンポの良い群像劇で描いたサスペンス&恋愛&グルメ作品である。】
ー まあ、良くぞ一晩のイタリアンレストランでのサスペンス&恋愛を、美味そうなヌオーヴォ・クチーナの多くの料理と共に描いたモノである。感心する。ー
■ニューヨークのトライベッカ区でイタリアンレストラン「ジジーノ」を経営するルイス(ダニー・アイエロ)。
ある日、経営パートナーのエンリコが2人組のギャングに射殺される。
ルイスはそれは、自分長年掛けて築いたレストランビジネスの後釜を狙うマフィアの存在があることを察知する。
だが、そのほかにもルイスは、自分の息子ウード(エドアルド・バレリーニ)が、伝統的なイタリア料理よりも、”ヌオーヴォ・クチーナ”(フランス料理で言えば、余りバターを使わないヌーベル・キュイジーヌ)を重視している事や、腕利きのスーシェフ、ダンカン(カーク・アセヴェド)が、ギャンブルに嵌っていて多額の借金を抱えている事に、悩んでいた。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・人気のない道での殺人事件が冒頭に映し出されるが、それ以降はずっとレストラン「ジジーノ」の中での、溢れかえる客とウェイター、料理を凄い勢いで作り続けるシェフたちの姿が、群像劇で描かれる。
・多数の登場人物、飛び交う台詞の中、ストーリー展開が破綻なく進み、客に提供される料理の調理シーンから映し出されるのに、驚く。
・客も、エンリコを射殺したあまり食べない若い男と、太った物凄い皿数の料理を平らげて行く男から、店の端の定席に座り店全体の動きを見ながら客人と話をするルイス、食のレポーターの女性、刑事夫婦、長く待たされて苛つく常連客の男など多数だが、ストーリー展開が破綻しないのである。
・ルイスは、息子ウードの料理が好評で毎晩満席であり、予約も三カ月前から埋まっている事を知っていたが、実際に250名強の客に料理を提供していく様を見て、息子に店を任せる決断をし、エンリコが殺されるきっかけを作ったダンカンの借金を肩代わりしつつ、カウンターでユニークなバーテンと話し乍ら呑んでいる金融マンに、密かにある依頼をしているのである。
<そして、狂騒の店の中で、ルイスは金融マンに”頼みごとをし”二人の親友を殺したマフィア二人を始末し、息子に店を任せると告げ、店を車で後にするのである。”復讐と美味い料理は後を引く”と言いながら。
今作はニューヨークのイタリアンレストランの狂騒の一夜を群像劇で描いたサスペンス&恋愛&グルメ作品なのである。>
観逃していた良作
【鑑賞のきっかけ】
2002年の日本での劇場公開時には、全くノーチェックで、その後も、その存在を知りませんでした。
たまたま、ある映画情報のメールの中に、オススメ作品として紹介されていたことから、動画配信で鑑賞してみることにしました。
【率直な感想】
あまり有名な作品ではないですが、率直に言って、かなり出来映えの良い作品ではないかと考えています。
物語の冒頭で、ルイスというニューヨークで25年にわたり、「ジジーノ」という料理店を経営している人物が、その仲間をギャングに射殺されてしまうという事件が起こります。
物語は、今はイタリア料理店となっている「ジジーノ」店内で繰り広げられるある一夜の人間模様が描かれます。
店の片隅で店内の様子を見守るルイス。その息子で、料理長を務めるウード。そして副料理長のダンカン。
この三人を中心として、映像は、客としてテーブルを囲む面々の会話や、厨房での戦場さながらの料理づくりのシーンなどが織り込まれる、いわゆる群像劇のスタイルをとっています。
冒頭で、ルイスの仲間を殺すという犯罪が起きているものの、「ジジーノ」での一夜という群像劇が始まると、そこで、交わされる会話や、作られる料理の見事さに目を奪われて、「サスペンス」であることを忘れてしまいました。
そこが、本作品の巧みなところで、ラストの意外な展開を観て、私は、これが「サスペンス」だということを再認識するとともに、その物語構成の緻密さに、驚嘆させられました。
【全体評価】
群像劇の裏で巧みに仕組まれた事柄の全貌が明らかになるラストは、正に「サスペンス」の真骨頂とも呼べるもので、高く評価したくなる作品でした。
半径1Km未満で展開する映画?
厨房は戦場…
ラストはスカッとした。バーカウンターにいた男はそれ待ちだったとは。。NYの人気イタリアンレストランで巻き起こる群像劇。映像もスタイリッシュで、特に厨房内の映像はまさにLIVEキッチンとも言うべき、スタッフたちが慌ただしく動き回り、ダイナミックであり、また魅惑的な料理は食欲をそそる。それを食す客たちはどこかエロティックにも映る。オーナーと人気シェフ親子愛や、スタッフ同士の愛などの愛を描きつつ、ラストは復讐劇まで、どのエッセンスもちょうど良い塩梅でオシャレ映画。ダニー・アイエロが渋い。
復讐と美味い料理は後を引く
いわゆる「ワンナイトもの」冬のニューヨーク、トライベッカの大人気イタリアンレストランにて
好物のいわゆる「ワンナイトもの」
ニューヨーク、トライベッカ、人気のイタリアン・レストラン“ジジーノ”の冬の一夜(厳密には他の日もとりあえずあるけど)で繰り広げられる人間模様。
レストランの物語とマフィアの物語が交差し、親子関係、恋愛関係も絡んでくる。
コックとウェイトレス、マネージャとオーナー、訪れるさまざまな客達が入り乱れ、厨房では戦場のような忙しさ!
勢いのある店が持つ活気がよく描かれている。元気が出てくる!そこだけでも好き。
勢いのある店の出てくる料理は美味しそう!に感じられるのも、お腹が空いてきて、もちろん好き。
最後にドンデン返し的な展開があるのもスッとするから好き。
そここに感じられるイタリアンファミリーの絆も好き。
そして夜が明けたら、すっきりした気持ちになる。
役者さんもダニー・アイエロ以外、そんな有名では無いけど(失礼)誰もがハマる配役!
嫌いになる要素ないわ。
映画って本当に良いものですよね〜
オシャレサスペンス映画
10年以上前に東京都写真美術館で上映してたものを鑑賞したのだが、ちょうど料理に関する映画を観たので思い出してのレビュー。
ニューヨークの四つ星レストラン。優雅な表向きとは裏腹に、キッチンで巻き起こる慌ただしさはまるで戦場。観ていると、自分もまるで厨房にいるかのような錯覚になる。経営問題、借金、束の間の逢瀬…一夜のうちに起こる数々の出来事が目まぐるしくキッチンにいる人間を巻き込んでいく。
レストラン映画なので美味しそうな料理とオシャレでテンポのいい会話で終わると思ったら大間違い。最後にたたみかけるように明かされるどんでん返しに、開いた口が塞がらなくなる、何とも痛快なサスペンス映画。
金曜日の夜、お酒片手にフラっと観たくなる映画です。
懐かしい
ジャケ買い(ジャケ見?)で期待してなかったんだけど、期待してなかっただけに面白かった!
前振りのストーリー以外は、あるNYの人気レストランの、たった一晩のお話。
でも、その狭い空間の、短い時間の中に、色んな要素が詰まってる。
キャリア志向、プライド、仲間意識、家族愛、恋愛、そして大どんでん返し。
あのキッチンの戦争ぶりが懐かしく、飲食業界に戻りたくなってしまった。
馴染みのある世界だけに、ストーリー以外に目が行っちゃうのがちょっと困ったけど笑。
満席の時に、店を抜け出す副シェフとウェイトレスが許せなかったのと(自分が一緒に働いてたらキレる)、「お皿ヒーターに入れないんだね」っていうのだけが引っかかりました。
スポーティなテンポのいいカメラワーク
アイエロ氏の魅力炸裂
主人公のルイスって、あの『レオン』の…。
いきなり人が殺される…。
よくあるマフィアの抗争劇?
と思っていたら…。
え?レストランに来る客と、厨房・フロアーで働く人、オーナーの群像劇?
と思っていたら、
そうくるか。
マフィアとの攻防、店の主権、従業員の生き様、客あしらい、恋のさや当て…
とっ散らかりそうな話題を幾重にも振りまきながらも、
この先何が起こるのだろうと緊張感を持続させる手腕が見事。
基本、映像は店から出ない。
厨房・スタッフの部屋・テーブル・入口・バー、トイレ…。出たとしても、店からちょっと抜け出し、外の空気を吸って、内緒の…。
だのに、映像の角度・人々の表情、光、色…で飽きさせない。
一触即発。ウードの甘いマスク、バーテンダーの洒脱な会話と気配り…。
あっちで、こっちで、あっちも、こっちも…。
リズムがいい。
そしてこれらのエピソードの軸になるルイスの存在が要。
アイエロ氏ならではの、あったかさと危なさ、安定感、洒脱が絶妙。
そして音楽が、臨場感あふれてて、スタイリッシュで、一夜の贅沢なディナーを満喫させていただいた。
それにしても、あんなバーテンダーがいるバーなら通ってみたくなる。
隠れた傑作では?
思わぬ拾い物!
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