劇場公開日 2001年4月7日

山の郵便配達のレビュー・感想・評価

全27件中、21~27件目を表示

4.0そこに人生がある

2018年8月14日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

幸せ

 中国は漢民族と満民族、それに数多くの少数民族で成り立っている国である。山の人々は山で暮らし、あまり平地に降りてこない。そこに自分たちの居場所がないことを知っているからだ。それでも若い人を中心に、少しずつ故郷の山を離れる人々がいる。そして電話もインターネットもない故郷と、下山した人々のいる都会を結ぶのは、昔ながらの手紙である。そしてそれを届けるのが本作品の主人公親子なのである。
 息子は父とともに父の歩んだ郵便配達の道を歩く。どのような道を辿り、どのような町や村でどんな人に郵便を配達し、また預かっているのかを知る。そこには様々な人生があり、郵便配達員との様々な係わり方がある。父がそれらの人々を大切にし、また信頼関係を築き上げて来たことを息子は知ることになる。それはとりもなおさず、父の人生そのものなのだ。ささやかでつつましい世界だが、人に優しくする包容力のある豊かな精神と、寛容な人生観。息子は父の偉大さを知り、自分の父であることを誇らしく思う。
 素晴らしい親子の、とてもあたたかい数日間を描いた秀作である。中国はやはり広大だ。こういう映画を作る才能が多分たくさんいるのだろう。ちなみに犬の演技も非常によかった。

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耶馬英彦

4.0親子

2018年5月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

幸せ

永年勤め上げた郵便配達の仕事を、今日を最後に、息子に引き継ぐ父親の物語。

一度仕事に出ると、数日間、長いときには数ヶ月も家を空け、山奥を回りながら、郵便を配る配達人。仕事一筋、しばしば家を空け、息子との関係も疎遠になりがち。父親の仕事を継ぐことになった息子へと、仕事引き継ぎの最後の配達に出かける。

無口な父親と、父親の仕事のことを何も知らなかった息子。父親の配達先で、父親と地域の人たちとの交流を通し、その苦労と、仕事の価値を感じ取る。そしてとりもなおさず父親の人生そのものであることを知る。

何しろ美しかったのが、湖南省の自然。照葉樹林文化などと言われ、日本との共通することが言われる、中国南部ですが、中国にこんなにも自然の美しいところがあるとは驚かされた。中国北部では歴史上早くから、木々は伐採されつくし、埃まみれの風景が印象がある。けど、南船北馬と言いますが、南部は自然が豊かなのですね。

#有る方のプレビューを拝見していて。原題の「那山 那人 那狗」の「山 人 狗」の中国語の発音が「1声 2声 3声」であることに気づいた。

そうね・・・「あの山、あの人、そしてあの犬」犬の前に、ワンクッション置いて訳したりすると 良い感じかも。

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徹2001

4.5父、息子、犬の心温まるロードムービー

2017年1月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

午前十時の映画祭で鑑賞。父にとっては最後の、息子にとっては初めての配達の仕事をしていく中で物語は展開される。旅の中で、二人のわだかまりが溶けていったり、息子が父に対していたわりの情を見せたり、父がこれまでの人生を振り返ったり、静かな映画だったが、どのシーンも優しく温かな気持ちになった。犬(「次男坊」)の存在も愛らしかった。

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つなやん

5.0父親と息子

2017年1月14日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

メインテーマは「父親と息子」である。
老いた父親に代わって、若い息子が郵便配達の職を継ぐ。中国奥地の山間部の村々を、毎回3日かけて周り、郵便物を集配する仕事だ。父親にとっては最後の、息子にとっては最初の旅。
いく先々での出来事や、道中の会話を通して、離れていた二人の心が寄り添っていく。私もまた一人の父親であり、一人の息子である。鑑賞しながら様々な思いが交錯し、川を渡るシーンでは涙を禁じ得なかった。

それにしても、舞台は1980年代なのに、徒歩で郵便物を配達していたことには驚いた。バイクぐらいは使っていてもよさそうなのに。

背景となる山河はとても美しい。おそらく何百年と変わっていない風景なのだろうと思う。
風土の中で家族の情愛を描くのは、『初恋のきた道』も同じだ。

旅の途中、息子は何度か「人はなぜ山に住むの?」と尋ねる。が、父親は答えをはぐらかす。
なぜ人は不便な場所から離れようとしないのか。生まれ故郷だからか。自分のアイデンティティがそこにあるからか。
逆にまた、便利であることがそれほど幸福だろうか。不便で厳しい暮らしの中でこそ感じられる幸福もあるのではないか。
そんなことをとりとめもなく考えてしまう問いだ。

作中、「幹部」だの「委員会」だの、いかにも中国らしい言葉が台詞に混じる。親子の情愛や美しい自然にそぐわない言葉のように感じた。

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ROKUx

3.5淡々と実直に。

2017年1月4日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

幸せ

携帯とか通信手段が限られた時代と山村と。山の郵便配達の親子の世代交代が中国の美しい山の景色とともに描かれる。
家族と老いと過疎化と…全て避けて通れない、現実はこうなんだよな、という話が丁寧に切々と描かれていてしんみり。
特に孫が都会に出たおばあさんの話は泣けた…。外に出たものは残された者を気遣う余裕もない日々を送り、残されたものは日々出ていったものを気遣い心配する、と。
そうだよな…と痛感。

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peanuts

3.0いい映画!

2016年12月31日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

素晴らしいの一言。
古き良き中国みたいな、Chineseの本質はこちらで在って欲しいな。
親父さん激渋かっこいい、次男坊も賢き犬なり。
親父を背負えるようになって一人前とか、、そしたら俺はまだまだや

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めたる

3.0いい作品なんですが・・・・・

2015年5月19日
iPhoneアプリから投稿

いい作品ですが、いい作品を作ろうとする演出が気になる。つまり、優良映画を作ろうとか、何かの賞を取ろうとか、日本なら文科省推薦映画にしようとか、何かそういった意図が演出に強く感じられる場面がときどきあるのが気になった。たとえば、目の見えなくなったおばあさんに代わって、手紙を読むシーンとか。

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ジョニーデブ
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