フォロウィングのレビュー・感想・評価
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最初から中二病
私の初ノーランはこれ。
昔レンタルで観てかなり良かったし友達にも勧めた。その後すぐに『メメント』観て、「あー、ダメになったな」と思ったけど、最初から冴えていなかったのだと今回確認できた。結局、私の若気の至りだったという結論だ。
まず、主人公が単なるバカで嫌になる。嗜好泥棒と女にハマっていく描写も中途半端でせっかく時系列シャッフルしてるのに思いがけない文脈が出会ったりズレたりすることで生じる高揚感がない。単なる思いつきで脚本書いて撮ったんだと思う。未熟なのではなく異なる時系列を扱うことに関して単に才能が無い。
ノーラン演出の特徴
・男女のわちゃわちゃが下手←今作でもホントに下手でしたね! 黒澤明の『七人の侍』を思い出しました。
・時系列シャッフルしてるけど意味がない←そもそも効果的に演出する技量が無いし異なる時間軸を挿入するタイミングに失望し続ける。鈴木清順を参考にしろよ、と言いたいがポテンシャルが違いすぎるか...
・自分の世界観に酔っている← 演出者として致命的な欠陥。これはテレンス・マリックと同種。
ただ、これ以降の作品群よりも優れていると思うし、良いシーンもいくつかあった。新作の度に駄作に対して頭を悩ます大衆を産み続ける才能は大いにある。
傑作サスペンスの宣伝文句に偽りなし!
面白い
時間軸の
ザファーストノーラン
ノーランは、私たち観客に挑戦していた
作家志望の失業中の若い男(自分のことをビルと呼ぶ)が、ロンドンの街で見知らぬ人を尾行する(Following)が、しっかりした身なりの男(コブと呼んでいた)と巡り合う。男の空き巣狙いに同行するうち、男の勧めに従って、髭を剃って髪を短くし身なりを整えるようになる。ところが、映画では、ビルは冒頭で、既に短髪になった姿で出てきて、すぐにコブと初めて出会ったところがフラッシュバックされる。当然、その頃はまだ長髪だから、見ている方は一瞬、戸惑う。このように、ノーランは見ている者を緊張させ、戸惑わせる。その後もずっと。
若い男は作家志望だからか、ドストエフスキーの「罪と罰」の訳本をガイド本と共に読んでいる。これはきっと監督が、若い頃UCLで英文学を専攻していた影響だろう。ハリウッド映画にドストエフスキーなんて出てこない。見ている方は老婆殺しがあるかなと思っていると、実際、コブはそれを示唆する。ところが、相手は全く違っていて、それは最後に種明かしされる。
この映画は、98年ノーランが脚本、監督、撮影を務めて共同製作した彼にとっての最初の長編映画であることがよく知られている。低予算のためモノクロであり、かつ撮影用の照明がなく、多く自然光の下、手持ちのカメラで撮影されている。曇って、いつもどんよりとしたロンドンの情景によく合っているが、コントラストの強いフィルム・ノワールとは趣を異にするように思う。
文学の世界では、デビュー作にその作家の全てがあると言ったのは、三島由紀夫だったか、私も全くその通りだと思うが、ノーランの「Following」もまたその例外ではなかった。常に新たなトピックを提供し、観る者に緊張を強いる。
粗削り感がない
ノーラン苦手な両親にこれなら勧められるな💕
池袋シネマ・ロサ観賞デビュー✨
ノーラン作品は嫌いではないものの、“観終わった後になんかドッと疲れる”印象が強過ぎて、『オッペンハイマー』を午後から観ようと計画してる同日に“勝手にノーラン祭り”することに若干の躊躇はしたものの『迷うならままよ❗️』と飛び込んだ本作。
いや〜〜〜〜傑作でした✨✨✨✨✨✨
初回長編作品でありながら“ノーランism”とでもいうべき時間の魔術がしっかりと存在。取り調べのシーンから始まるけど、どうして取り調べられているのかは明かされない。時間をあっちにこっちに飛びながらその謎を解明していく王道ノーラン作風は初作品から健在。それでいて、今のような3時間コースではなくコンパクトに70分に納めてくれているため(最近超長編続きで少しお疲れ気味な私を含む)観る側への配慮もバッチリ👌(←超長編否定ではない。今がお疲れ気味😅)
見ながら“これってこーゆーお話かしら??”と自分なりにストーリー予想を立てながら観て、観進めるうちに答え合わせをしていくんだけど、自分の予想の斜め上をいく『最後の一捻り』があるとうーしいんだけどこれは正にその捻りをくれました💜
◇初期の時間の魔術師
クリストファー・ノーラン監督の初長編作品がリマスターされて劇場で上映されていたので鑑賞してみました。モノクロ手持ちカメラ🎥で切り取られるロンドンの下町、サスペンス仕立ての濃密さ、背景には不穏な音楽。
そして、お家芸である「解体+編集された時間軸」がこの時点で完成されていることに驚きました。時系列を入れ替える編集手法の類例は他にも見られるかもしれませんが、ノーラン監督が切り取る時間、場面には独特の緊張感があることに改めて気付きました。
一つは、モノを拡大して描写する手法(ここではピアスとかポートレート写真とかハンマーとか) もう一つは、俳優達の目付きの緊迫感。鑑賞しながら、だんだんと胸の奥に迫ってくるような、胸騒ぎしてくるような感覚が蠢きます。
都会に住む分裂病気質の若者の独白、撲殺される老婆のエピソードはラスコーリニコフ(罪と罰-ドストエフスキー)を、無意味な尾行(Following)は、ガラスの街(オースター)を想起させました。改めてノーラン世界を探究し直してみたくなるようなそんな作品でした。
全てが収斂されていく
いくつかの作品の原点を見た気がする
クリストファー・ノーランって「メメント」が初監督作だと思っていた。世に出てきたのが「メメント」ってだけで誤ったイメージを持っていたのだろう。それでも、ノーランの初監督となったら観ておくべきと思ってしまった。
誰かを尾けるようになった主人公が、尾行していた一人の男に話しかけられるという設定。時系列をいじった物語だが、それぞれ髪型、顔の傷でわかりやすく区別しているから、どの時の話なのかをわかりやすくしている。このあたりの時系列のいじり方が次の「メメント」につながったのかなと推測してみる。
正体不明のバディの存在とか、実は…という結論を提示する手法は「TENET」を思わせる。全編モノクロだからもっと昔の映画に思えてしまうのもわざとか。予算をかけずに面白い脚本で映画を撮るという、監督デビュー作として正しいあり方を見た。当時観たら斬新だ!となったかもしれない。それなりに面白かったけど、粗も目立ってしまうのも仕方ない。だって25年くらい前に作られたんだもの。
高校時代の友人に、1stアルバム好きのやつがいた。1stアルバムはバンド・アーティストのやりたいことや本質がつまっていると。もちろん例外もあるが、そうかもしれないと思う1stアルバムはたしかに多い。音楽の話ではあったが、この映画を観てそんなことを思い出した。音楽の世界では1stアルバムを超えられないバンドはたくさんいるが、クリストファー・ノーランはデビュー作を超えまくった。素晴らしい映画監督の原点を観たという意味で意義のある鑑賞だった。
かなりの知識を要する映画か…。
今年139本目(合計1,231本目/今月(2024年4月度)13本目)。
(前の作品 「サンパギータ」→この作品「フォロウィング」→次の作品「秒速5センチメートル」)
あの有名監督さんの初期のころの作品で、モノクロです。ただ、モノクロであることは理解の妨げになりません。
なぜか1週間限定で復活上映されていたのですが、この監督さんの作品は他の作品でも理解難易度も高いものが多く、しかもこの作品は70分ほどです。このため、一度見ただけでは理解は4割あるかどうか…というところがあり、何度か見るのが前提にされている(70分ほどで終わるということからも)ものの、いかんせん1週間で終わるし、VODシステム等でも見ることができないので、多々理解が難しい(もちろん、パンフレットなんていう生易しいものはない)のではないのかな…といったところです。
分野としても理系文系色々な分野に飛んでいるものの、時間の関係でどれも完全に拾いきれておらず、何を言いたいのだろう?という結構マニアックな話題をするかと思えばぶちっと切られたり、おそらく「初期の時代はこうだっだのだろう」という一つの見方でしか見られないのでは…と思いまうす(知的好奇心はくすぐられますが、すべて理解しきるのは無理?)。
とはいえ、有名監督さんの過去の作品が復刻上映されることそれ自体に意味があるものと思いますので、減点なしフルスコアにしています。
クリストファー・ノーラン監督の原型を観る
アカデミー賞作品賞はじめ7部門で受賞した「オッペンハイマー」で俄然注目の人になったクリストファー・ノーラン監督の長編処女作という本作を観て来ました。「TENET テネット」が2時間半、「オッペンハイマー」が3時間という超長編が当たり前のノーラン監督作品ですが、本作は70分なので、同じ”長編”とは言え最近の傾向とは異なりました。まだ売れるか分からない長編デビュー作なので、流石に2時間を超える作品を創れるだけの予算は集まらなかったのでしょう。また上映時間以外にも「オッペンハイマー」とは大きく異なることがあり、主要登場人物が3人に絞られたので、その点では分かりやすいと言えば分かりやすかったです。
とはいえ、時系列が行ったり来たりして観客の頭を混乱させるというノーラン監督らしい作風は、本作でも遺憾なく発揮されており、三つ子の魂百までを地で行ってるなと感心させられました。
内容的には、”尾行”が趣味の作家志望の男が、尾行に気付いた泥棒に嵌められてしまうというアッと驚く仕掛けがなされたお話でした。そもそも”尾行”が趣味って発想が面白かったですが、そんなヘンテコな趣味のために人生を棒に振ることになりそうな主人公の姿は、悲劇と言うより喜劇の域にあり、中々面白く、そしてどんなところに落とし穴があるか分からないという寓喩になっていたような気もした作品でした。
そんな訳で、本作の評価は★4とします。
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