劇場公開日 2001年10月6日

「ボズの行動が独善的に思える」タイガーランド 根岸 圭一さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0ボズの行動が独善的に思える

2025年5月8日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

 今作は『フォーリング・ダウン』のジョエル・シューマカー監督の映画ということで鑑賞。

 ボズが、彼が除隊すべきと判断した者を除隊するように仕向ける行動を描くことを通じて、反戦を訴える意図が今作にあるのだろう。だが、彼の行動は称賛されるようなものでも無いと思えた。戦争に行きたくないのは皆同じだし、語らないだけで皆様々な事情を抱えている。にもかかわらず、彼が除隊するべきと判断した者のみを除隊させる行動が独善的に思え、あまり共感できなかった。特に、友人を除隊させるために、頼まれてもいないのに目を撃つのは唖然とした。

 ただ、今作は訓練の様子のリアリティが素晴らしい。同じくベトナム戦争に行く前の訓練を描いた作品としては『フルメタル・ジャケット』が連想される。『フルメタル・ジャケット』は基地内での訓練の様子が描かれる。それに対して、今作は蒸し暑い密林のあるベトナムを模したタイガーランドがメインの舞台な点で、より訓練の過酷さが伝わってきた。実際の訓練もこれほど過酷だったろうと思わせられる点が秀逸だった。

根岸 圭一
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