クイルズのレビュー・感想・評価
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書くことに対しての愛が溢れている映画
純文学を書けば偉くて、下衆なエロ、ポルノを書けば最低な人間と世間は思ってしまうけど書くことが好きで、情熱があると人はここまで突き進むことができるんだということを実感させてくれる内容です。
自信と信念があるから、周りから何を言われても曲げない、へこたれないサドの姿は正直尊敬してしまいます。
変態作家など世間からは言われていますが、ジェフリーが演じると高潔な貴族に見えてしまうから不思議です。
マドレーヌが彼の手助けをするのも魅力があったからなんだろうなと思ってしまいます。
どれほど迫害、邪魔をされても執筆を諦めない、書くことに囚われているのか、それともエロという文学が彼を自分の代弁者と選んで離すまいとしたのか。
最後、彼は独房の中で死んでしまいます。
死体は映されていませんが、壁一面に糞尿で書き殴られた文章、ペンもインクもない為、自分の糞尿で書きなぐるのです。
情熱、書くことが好きだから自分の痕跡を残したいから。
世間は彼を害悪を撒き散らす最低の人間だと非難するけど、自分が観た、この映画の中では貴族に生まれて、書くことに情熱を注いだ一人の小説家です。
やっぱり馬鹿な私には難解だった
小説、文芸、エロスドラマ、宗教的、オカルト、精神病院、舞台劇の映画化・・・こういった類のものには全く興味がないバカな私ですが、とりあえずケイト・ウィンスレット、マイケル・ケインを知ってるので、この二人を中心に何とか観れるかなと思って鑑賞。
・K.ウィンスレットに対し、本を読みたければキスしないと次のページを見せないぞ! と偉そうなジジイ(苦笑)
→ナポレオンの命令で変態小説を書く癖を治すため投獄されたジェフリー・ラッシュ
・M.ケイン院長は孤児の女(アメリア・ワーナー)と結婚
→いい人役だろうなと思ったら「カゴに閉じ込めておきたい」と、こちらも変態だった
そして、わいせつ小説なのに、なぜK.ウィンスレットはハマッてしまうのか・・・。
「私は本に救われている。精神患者相手の仕事は辛い。日々疲れ果てて・・・。本の中に身を置くの。役を演じるのよ。売春婦や人殺しになって。本の中なら悪女になれるから身を滅ぼさずに済む」--- どこかで発散する術がないと務まらないということかなぁ。ホアキン神父は、文字を教えたのにそんな活用をするとは思いもしなかったけど、どこか同情する部分が印象的である。まぁメロメロってことで。
観る前から私にとっては「理解するのが難しい映画だろう」と思っていたので、こうしたわかりやすい部分は大事でした。
純心に思えた可愛いアメリア・ワーナーもM.ケインの支配欲に気付いたのか、あっという間に他の男と行為するし、とにかく皆さんが病的、本能のままに思える。憎しみが欲望に火をつける流れですかね。
そして、死ぬ直前の儀式?で十字架を飲み込んじゃうJ.ラッシュ。無念のホアキン神父が以心伝心したかのように「変質者扱い」にされちゃう展開は、私は弱者の抵抗のように思えた。J.ラッシュの意志を継ぐかのように紙とペンを手にし、権力者M.ケインの操縦を打ち破れるのか、そんなふうに見える。いや単に暴露がしたいだけかなぁ・・・。逆に、全てを支配できる人が居ないと、人間は皆「欲のまま生きる淫らな存在」として滅びることになるだろう。そんなメッセージ性も感じちゃいましたね。
衣装はもちろん、病院(屋敷)のムードは良かったので映像的な違和感はなく楽しめると思いますが、ほぼ全部と言っていいほど「中での話」なので退屈に感じる人も多いと思う。外の景色も観たかった。
まぁ二度は観ませんね(苦笑)
サド侯爵の闇
何が何でも書き続ける
変人
実在人物、サド伯爵の壮絶人生。
とにかく生々しく、息を潜めながらでも一気に見てしまう中世史実のリアルな世界観です。サド伯爵の死の直前までの執筆に対する凄まじい執念と、対抗する妖しい魅力の神父、彼を擁護する小間使いそれぞれの心理描写が観る者を引き付けます。
サド伯爵のジェリー・ラッシュ、神父のホアキン・フェニックス、小間使い役、ケイト・ウィンスレット、更には悪徳博士、マイケル・ケインと…もうそれはそれは演技達者な実力俳優人が役を演じきっているというのでしょうか、すごい迫力!
題材が「サディズム」の語源となったサド伯爵の晩年ですから、決して万人向けではないですが、興味あれば面白く観る事が出来ると思います。濃い内容です。
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